「一緒くた」という言葉の響きには、なんとも雑多なものがごちゃ混ぜになったイメージが浮かびますね。そもそもこの言葉は、江戸時代の
庶民の会話から生まれたと言われています。当時の人々が使っていた「一緒」と「くた」が融合したもので、「くた」は「くたびれた」「くたばる」といった言葉に通じる、疲れや雑然さを表す接尾語のような役割を果たしていたようです。
面白いのは、この言葉が最初は「一緒くたにする」という動詞的な使い方ではなく、「一緒くたな状態」を指す名詞として使われていた点です。例えば、着物の端切れや古い道具が無秩序に積まれた様子を「一緒くた」と表現していたんですね。時代とともに意味が広がり、現代では「区別せずに混ぜる」という行為そのものにも使われるようになりました。
語源を辿ると、「くた」という語感が持つネガティブなニュアンスが、「一緒」という中立な言葉に感情的な色彩を加えたことが分かります。これこそが、単なる「混合」とは違う、この言葉独特の味わいを生み出しているのでしょう。