麾下という表現は、権力関係を匂わせつつも格式を保てるのが魅力だ。最近読んだ『
傭兵団の料理番』という小説で、主人公が「あの傭兵団長の麾下で働いていた頃」と回想するシーンが印象的だった。たった一言で、過去の上下関係と複雑な思いが伝わってきた。
創作初心者がやりがちなのは、単に「部下」と言うべき場面で無理に使うこと。麾下はどちらかと言えば、将軍と兵士、大名と家臣といった、ある程度公式な主従関係に適している。
SF作品なら宇宙艦隊の指揮系統を描く時に使えそうだ。『スター・ウォーズ』の
帝国軍将校が「我が麾下のスター・デストロイヤー」なんて言ったら、それだけで悪役感が出る。