かんぬきとデッドボルトはどちらもドアやゲートを固定するための装置ですが、構造と用途に明確な違いがあります。かんぬきはシンプルなスライド式の棒で、主に内側から手動で操作するタイプが一般的です。伝統的な日本家屋の雨戸や納戸に見られるような、木製の横滑り式のものがイメージしやすいでしょう。
一方デッドボルトは、よりセキュリティを重視した金属製のロックシステムで、鍵穴と連動しています。ドアの側面に埋め込まれたボルトが、回転式の鍵操作で奥までしっかりとはまり込む仕組みです。防犯性が高く、玄関ドアや商業施設の非常口などに採用されています。
面白いのは歴史的背景で、かんぬきが古代から存在する原始的な閉鎖装置なのに対し、デッドボルトは18世紀にイギリスで発明された比較的新しい技術だということ。現代の住宅では、デッドボルトを補助的に使う「ダブルロック」が防犯の基本となっていますが、倉庫や納屋では今でもかんぬきの簡便さが重宝される場面があります。
防犯カメラが普及した時代でも、物理的なロックの進化は続いていて、最近では電気式デッドボルトや指紋認証連動型など、両者の技術を融合させたハイブリッド製品も登場しています。