焦燥感を和らげるには、まず自分が心地よいと感じるテンポの音楽を見つけることが大切だ。私の場合、90年代のスローなR&Bが意外と効く。『Killing Me Softly With His Song』のような曲は、ゆったりとしたメロディーが神経を鎮めてくれる。
電子音楽の分野では、Tychoの『Awake』のようなアンビエント系もおすすめ。自然の音をサンプリングしたようなサウンドが、頭の中の雑音を洗い流してくれる感覚がある。激しい感情を静めるには、むしろ一定のリズムパターンが続く音楽の方が効果的かもしれない。
80年代の電子的な煌めきに惹かれるなら、まずはシンセやメロディの質感を楽しめる曲を中心に組んでみるといい。僕は若い頃に友人からテープを借りて聴いた経験があって、そのときの胸の高鳴りを今でもプレイリストに反映させている。
リストの核にしたいのは、'Take On Me'(a-ha)の疾走感と高音の美しさ、'Sweet Dreams (Are Made of This)'(Eurythmics)の冷たくも中毒性のあるリフ、そして'Just Can't Get Enough'(Depeche Mode)のポップなシンセが織りなす幸福感。ここに'Don't You Want Me'(The Human League)の物語性を加えると、曲ごとに違う表情が楽しめる。
最後に落ち着いた流れを作るために'Everybody Wants to Rule the World'(Tears for Fears)の余韻を置くとバランスが良くなる。プレイリストは曲順で聴き手の旅路をガイドできるから、始まりは明るめ、途中で深いシンセ曲を挟み、終盤で風通しのいいナンバーにするのがおすすめだ。こうして自分の記憶と感情を呼び覚ます選曲が完成すると思う。