キャラクターの声を聞き取る作業から始めるのが好きだ。オリジナル作品の台詞回しや仕草を何度も観察して、彼らがどんな言葉を選び、どんな反応をするかを徹底的に分析する。特に『
ゆめみ』のような繊細なキャラクターの場合、作者の描くニュアンスを損なわないよう、原作のエピソード間に潜む空白を埋めるイメージで書く。
舞台設定も大切にしている。例えば学校の廊下の光の加減や、放課後の空気感まで再現しようとすると、自然とキャラクターの動きにリアリティが生まれる。ファンフィクションの醍醐味は、公式では描かれなかった『もしも』を具体化することだから、細部へのこだわりが読者との共有体験を深める。
最後に、オリジナル要素を加える際は、キャラクターの核を揺るがさない程度の冒険心が必要。ある時はゆめみが俳句に挑戦する話を書いたが、彼女の内省的な性格を軸に、失敗しても少しずつ上達していく過程を描くことで、新たな魅力を引き出せたと思う。