驚くほど赤裸々に語ってくれて、読みながら胸がざわついたのを覚えている。インタビューではまず、
三沢の設定が最初から固まっていたわけではないと明かしていて、幼少期の逸話や家族関係のディテールが何度も練り直された話が出てきた。実際、序盤のプロットでは三沢はもっと冷めた人物像で、ある章では敵側に寝返る予定だったという。だが、作家が取材で出会った人物の一言や、偶然手にした資料の一節がきっかけで、温かみと矛盾を抱えた現在のキャラクターへと刷新されたらしい。
次に興味深かったのはビジュアルと台詞の起源についてで、作家は三沢の特徴的な台詞が原稿の誤字から生まれた冗談話を披露していた。原稿段階での見落としが編集会議でウケて、そのまま本編に残ったというのは裏話としてすごく人間味がある。さらに、ある決定的な場面の演出は編集部と出版社の意見が割れて、最終稿でかなりトーンを和らげる代わりに別のシーンで強い象徴を置いたとも語っていた。
最後に、作家が三沢に込めた“後悔”や“救済”のモチーフの話は胸に残る。あまり表に出さないけれど綿密に計算された小道具や偶発的なエピソードが、読者の受け取り方を大きく変えたという点を繰り返していた。そういう制作過程の匂いを聞けたのは嬉しかったし、これから物語を読み返す目が変わった。