蛇を象徴するキャラって、見た目以上に性格描写で幅が出るところが面白い。僕の観察だと、まず“貪欲で貪る存在”として描かれるタイプがあって、欲望や執着が人格化されたような振る舞いを見せる。飢えや渇望が行動原理になっていて、他者を巻き込む強烈なカリスマ性を持つことが多い。こういうキャラは威圧的で冷酷に描かれる一方、欲望の根底にある孤独や欠乏が軽く触れられることで、単なる悪役以上の厚みを持つ。
別の潮流としては“古い知恵を宿す存在”としての描写がある。僕はこういうタイプに惹かれることが多くて、長い時間を経た視点から世界を
嘲るように語ったり、複雑な論理で主人公を誘導したりする。外見は怪異でも、言葉の端々に哀感や諦念が滲むと、人間側の短絡さが際立って物語全体が深くなる。
最後に演出的な側面として、誘惑者/保護者といった二面性を同時に持たせる手法がある。見た目の不気味さと、時に見せる慈愛が並置されると、読者は常に揺さぶられる。僕はそういう揺らぎを含んだ描写が最も魅力的だと感じるし、ウワバミモチーフのキャラが物語に“不確かさ”をもたらす点をいつも楽しんでいる。