綾波レイの変化を考える時、最初の衝撃は『序』で見せる無表情さから『破』での感情の萌芽までが印象的だった。
従来のテレビシリーズでは単なる
操り人形のような存在だった彼女が、碇シンジとの交流を通じて少しずつ自我に目覚めていく過程は、作画の細かな表情変化でも表現されている。特に『Q』では従来のレイとは全く異なるキャラクター性が強調され、過去のシリーズとの連続性を断ち切るような演出さえ感じさせる。
最終作『シン』に至っては、人間らしい感情表現が顕著になり、自己犠牲の選択にも深みが加わった。この変遷は単なるキャラクター成長ではなく、庵野秀明監督の人間観そのものの変化を反映しているように思える。