掲示板のログを追っていくと、
しょぼんの起源は単一の出来事ではなく、言語的な擬態語、アスキーアートの
表現技法、そしてコミュニティの共感が絡み合った産物だと感じる。多くの研究者が指摘するように、まず「しょぼん」という音声模倣語自体が日本語の悲しみや落胆を表す擬態語であり、それが文字による顔表現、特に顔文字やAA(アスキーアート)と結びついたのが出発点だ。掲示板文化ではモノスペースフォントと特定の文字コードが整列を可能にし、視覚的に安定した顔が生まれやすかったのも重要な条件だった。
次に、コミュニティ内での意味づけが加速器になった。初期の利用者が(´・ω・`)のような顔を「しょぼん」と呼び、そこに
諦観や自己
卑下を込めて使ったことで、単なる表情が特定の感情スペクトルを担う記号へ変換された。さらに、インディーやフリーウェアの世界でこの記号をキャラクター化した例として、'しょぼんのアクション'のような作品が現れたことで、テキスト上の顔がゲーム内の主体として回路化され、より幅広い層へ拡散していった。
結局、研究者の説明は技術的条件(文字コード・フォント)+言語的要素(擬態語)+社会的実践(掲示板での反復的使用とゲームや動画による拡張)の三つを同時に説明する。そういう複合的な視点がないと、しょぼんの持つ「単純な哀しみ以上の意味」は説明しきれないと考えている。