爆発で私を見捨てた男が、結婚を断られたら泣いた研究室で爆発が起きた瞬間、恋人の黒瀬拓真(くろせ たくま)は、施設の一番外側にいた橘小春(たちばな こはる)に駆け寄り、彼女をしっかりと庇った。
爆発音が止むと、真っ先に彼女を抱えて病院へ向かった。
地面に倒れ、血まみれになっていた私のことなど、一度も振り返らなかった――
十八年間も育ててきた「あの子」だけが、彼の心をすべて埋め尽くしていた。
他の誰かが入り込む余地なんて、最初からなかったのだ。
私は同僚に運ばれて、なんとか一命を取り留めた。
ICUを出たあと、泣き腫らした目で恩師に電話をかけた。
「先生、やっぱり私……秘密研究に同行します。一ヶ月後に出発して、五年間誰とも連絡を取れなくても大丈夫です」
その一ヶ月後、本来なら私の待ちに待った結婚式のはずだった。
だけど、もう結婚なんてしたくなかった。