海の瞳を持つ花嫁の、契約結婚から始まる恋「海の瞳」を持つ者は、他国に幸せをもたらす――。
シーブルーム王国の伝説として語られる「海の瞳」を持つ王女マリッサは、ニ十歳でグリージア王国の王太子ハロルドの元へ嫁いだ。
しかしハロルドは冷淡な態度を取り、マリッサの方を見ることさえない。どうやら彼には好きな人がいるようだ。
それでも結婚は国同士の契約、簡単に縁を切るわけにはいかない。
「だから私たち、このまま結婚を続けましょう?」
「そうだな。だが君に好きな人ができたのなら、離縁を申し出ても構わない」
こうして二人の関係は“夫婦”から、“契約で結ばれた秘密の共有者”に変化した。
それなのにマリッサが言い出した「離縁」をハロルドが渋るのは、どうしてなの?