マンガのキャラクターが
言い淀むシーンには、実に多くの心理的要素が詰まっています。例えば、『四月は君の嘘』で主人公が感情を伝えきれない場面では、言葉の途切れがむしろ本音の強さを浮き彫りにしています。
沈黙や言葉の詰まりは、単に表現力不足ではなく、キャラクターの葛藤を可視化する装置です。『ハイキュー!!』の影山が「バカ」と言いかけて止めるシーンでは、罵倒したい感情と仲間意識の間で揺れる心の動きが、読者に共感を生み出します。
コマ割りの空白や集中線、汗の描写といったビジュアル要素と組み合わさることで、無言の心理描写はより深みを増します。『進撃の巨人』のアルミンが作戦会議で言葉を探す様子は、思考のプロセスそのものを見せつける演出になっています。
こうした表現技法は、現実の人間関係でも見られるコミュニケーション不全を、物語内で昇華する手段として機能しています。読者はキャラクターの不完全さにこそ親近感を抱くものなのです。