読了してすぐに声を上げたくなった。ページ構成の巧みさと描写の強度が同居していて、僕の感情を揺さぶる瞬間が何度も訪れた。序盤はゆっくりと伏線を張り、中盤でその糸が一気に絡み合う作りは見事で、特に主人公たちの心理変化を細かなコマ割りで表現する手つきが好きだ。絵の密度が高いシーンでは、背景に置かれた小物や影の付け方ひとつで世代間の齟齬や過去の記憶を匂わせるあたり、画面の情報量で語らせる力量を感じた。
中でも注目したいのは中盤の対決場面だ。言葉だけでは片付けられない決断が描かれ、セリフと無言のコマが互いにぶつかり合うことで読者の解釈を突きつけてくる。特定の一コマ、主人公が一瞬だけ口をつぐむ場面の表情に、不意に胸が締めつけられた。ここでは内面の
綻びが一気に表面化し、読み手に選択の余地を残さない迫力がある。
余談になるが、作品全体の空気感は'寄生獣'の持つ生々しい倫理観に近いところがある。ただし本作はそこにもっと個人的な痛みや和解の仕草を加えていて、読み終えた後にずっと登場人物たちの動機を反芻してしまう。僕はすぐに二度三度読み返して、作者が巧妙に置いた種を拾い集めたくなった。