昔からこの存在について考えると、感情が複雑に絡み合っているのが見えてくる。主役たちが
奈落に向ける感情は単純な憎悪だけではない。『犬夜叉』の中で見られるように、裏切りや暴力の源でありながら、同情や苛立ち、そして不可避な執着が入り混じる。敵であるという事実と、そこに生まれた悲劇的な経緯をどう切り離すかで心が揺れるのだ。
過去の痛みや失ったものを思えば、復讐心は当然生まれる。一方で、奈落が人の弱さや歪んだ願いの結果として存在していることを知ると、
憐憫の念が湧く瞬間もある。仲間同士の対話や喪失を経て、私たち(登場人物)が抱く感情は段階的に変化し、最後には憎しみと受容が同居する独特の心境に至る。終局での清算が必然とされるからこそ、葛藤は物語を深くすると思う。