幾つかの批評を見比べると、ブロマンスが賛否を呼ぶ根幹には二つの軸があると思える。一つは描写の曖昧さで、もう一つは権力関係や同意の扱われ方だ。曖昧さについては、しばしば作り手が“仲の良さ”と“恋愛的関係”の境界を曖昧に残すことで、視聴者側に多様な読みを許す一方、当事者の視点からは「期待を煽るだけで踏み込まない」いわゆるクイアベイティングと受け取られやすい。これは観客にとっては希望と裏切りの両方を同時にもたらす厄介な位置取りだと感じる。
もう一つのポイントは力の不均衡や同意の描き方だ。スキンシップや密着描写がジャスティファイされずに権力差に紐づくと、性的搾取やロマンティシズムの隠蔽と批判されることがある。たとえば作品内で一方が常に守る側に回り、相手の意思を尊重しない展開が繰り返されると、友情の枠を超えた不健全さとして批評されがちだ。
作品選びで気をつけるなら、まず作り手の意図と作中での明示性を見ることを勧める。曖昧さを楽しみたい人と、明確な表現を求める人では満足ポイントが違うからだ。個人的には、信頼できるレビューやクリエイターの発言、そして作中の力関係や同意表現の扱われ方に注目して選ぶと、後悔が少ないと感じている。'ユーリ!!! on ICE'や'シャーロック'のように、作品ごとに扱いが全く違うんだよね。
読書の醍醐味は、時に胸を締め付けられるような感情を呼び覚ます瞬間にあると思う。
『Call Me by Your Name』はその典型で、イタリアの夏を舞台にした少年たちの恋は、瑞々しい描写と切ない心理描写が混ざり合い、読後も余韻が残る。時間の流れとともに変化する感情の機微を、これほど繊細に描いた作品は珍しい。特にエンディングのモノローグは、失われゆくものへの愛惜がにじみ出ていて、数日間頭から離れなかった。
同じ作者の『Find Me』も続編として出色だが、最初の衝撃を超えるのは難しい。それだけ『Call Me by Your Name』が特別な体験だったということだろう。