これが、妻が選んだ家族か妻の幼なじみが、子どもを連れて帰国した。
彼の体面と、その子の将来を守るために、妻は自分がその子の母親だと言い張った。
その代わりに、僕たちの子どもは、僕が外で女を作ってもうけた、ろくでもない私生児だと蔑まれることになった。
取り乱して、問いただす僕に、彼女はどこまでも冷静だった。
「恒一(こういち)は、ずっと家族に恵まれずに生きてきたの。
彼の子には、母親が必要よ。
だから私が、あの二人を支えなきゃいけないの」
その言葉を聞いた瞬間、七年間愛し続けた女の姿が、ひどく遠く感じられた。
そして僕は、もう二度と彼女を愛すまいと心に決めた。