木刀選びで最初に僕が重視するのは手に馴染む“感触”だ。重さや長さは数字で測れるけれど、握って振ったときに自然に動くかどうかは実際に触ってみないと分からない。持ち比べると、同じ長さでも材質や芯の太さで全く印象が違う。初心者ならやや軽めでバランスが柄寄りのものを選ぶと疲れにくく、フォームを崩さずに反復練習が続けられる。僕は稽古の最初の半年で二本試して、自分の振り癖に合う一本に落ち着いた。
次に見るのは材質と仕上げ。白樫は衝撃に強く扱いやすい反面、重めだから入門者は赤樫や無垢の柔らかめ木材の選択肢も検討するべきだと思う。表面の仕上げが荒いと扱い中にささくれが出ることがあるので、肌当たりの滑らかなものを優先する。さらに、経年変化を考えて、節や割れに対する保証や交換ポリシーがある販売元は安心感が違う。
最後に値段とのバランス。高価な木刀は確かに質が良いけれど、初心者の段階なら手ごろで丈夫な一本から始めて、技術が固まったらアップグレードするのが賢い。試せる環境があれば道場やショップで実際に振らせてもらい、納得してから選ぶのが一番だと、繰り返しの稽古で感じている。