まず色彩の設計から攻めるのが効果的だと感じる。
むくとうやの世界は静謐でありつつも部分的に強い色が刺すような印象があるから、全体のパレットを限定してアクセントカラーを厳選するだけで一気に世界観が立つ。僕は、背景を水彩やテクスチャで描き込みつつキャラの色数を抑える手法を考える。画面の奥行きは多層のパララックスや薄いフィルム粒子で表現し、手描きの揺らぎを残すと温度感が出る。
次に、ショット選びと長廻しの使い分けで情緒を作るほうがいい。クローズアップで細部の感情を拾いつつ、時おり引きの構図で世界の陌(はか)りを見せる。静かな場面には環境音と間(ま)を活かし、説明的なナレーションは最小限にすることで視聴者の想像力を刺激できる。
最後にオープニングとエンディングを物語の補助線に使ってはどうか。短い詩的な映像と楽曲でテーマを補強すれば、各話の余韻が深くなると思う。