『北斗の拳』の作者武論尊のバックグラウンドは、作品の深みを理解する鍵になります。本名・岡村善行の彼は、自衛隊勤務時代に
得た格闘技知識やサバイバル術を作品にふんだんに取り入れました。例えば、北斗神拳の秘孔技には実際の急所突きの理論が応用されています。
転機となったのは、映画評論家として活動していた時期に培ったストーリー構成力です。『マッドマックス』のような
ポストアポカリプス作品や香港アクション映画の影響が、世紀末の荒野や派手な戦闘シーンに色濃く反映されています。武論尊が原哲夫と組む前から『ジャンプ』で
執筆していたスポーツ漫画の経験も、熱血劇的な展開作りに活かされました。こうした多様な経験の融合が、『北斗の拳』の不朽の魅力を形作っているのです。