僕の頭に浮かぶ
又兵衛像は、史実の後藤又兵衛(後藤基次/後藤又兵衛基次)を下敷きにしていることが多い。史料では戦国末期から江戸初期にかけての武将として記録され、特に大坂の陣で豊臣方として奮戦し、討ち死にしたと伝えられている点が作品化の核になっていることが多い。
史実から取り入れられる要素は大きく分けて三つある。第一に、武勇と忠義のイメージ。大坂の陣での奮戦譚が素材になって、忠臣・豪傑として描かれる。第二に、浪人や波乱の遍歴といったロマン化。家を離れて流浪するエピソードがフィクションでは強調される。第三に、細かな逸話や容貌(槍の使い手、派手な出で立ちなど)がキャラクター造形に流用される。
創作側はこうした史実の断片を拾って、忠誠心や悲劇性を強調することで強い印象を与える。だから又兵衛というキャラクターを見るときは、史実の芯と創作の誇張の両方を味わうつもりで観ると面白いと感じる。