流通面と規約が絡む局面では、私は包装の言葉選びが最も慎重になるのを見てきた。イベント申請やオンライン販売のガイドラインは国やサイトごとに異なるため、同じ内容でも表現を変えてアップロードするケースが多い。タイトルを中立化する、内容説明に具体的な語を避ける、注意書きを明確にして自主規制を示すといった対応が定石になっている。
それに伴い、サンプルの切り取り方や縮小表示の仕方も工夫される。重要な要素をトリミングで外す、あるいはモノトーンにしてディテールを曖昧にすることで規約上の問題を回避しつつ興味を惹くわけだ。翻訳公開や海外向け販売を視野に入れると、さらにタグ付けや作品説明を二重に作ることもある。
創作作品の扱い方では、しばしば“パロではなくオマージュ”と表記して距離を取る方法が用いられる。例えば'新世紀エヴァンゲリオン'系の同人で見られるのは、核心的設定を別の文脈に移して直接的紐付けを避けることで、元ネタのエッセンスだけを生かすやり方だ。ルールと創作欲求の
はざまで編み出された工夫は、表現の柔軟さを示していると感じている。