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草を干す過程で何が起きるのか、栄養学的な観点から考えてみたい。水分が抜けることで、重量当たりの栄養素が凝縮されるのは確かだ。たとえばビタミンDは日光に当たることで増加する傾向がある。
ただし、ビタミンCのような熱に弱い成分は減少してしまう。牧草の種類によっても違いがあり、マメ科のアルファルファは乾燥に強いが、イネ科のチモシーは繊維質が増える特徴がある。保存状態が悪ければカビのリスクも考慮しなければならない。栄養だけではなく、嗜好性の変化も動物によって重要だ。
うちの犬が干し草を好んで食べるのを見て不思議に思ったことがきっかけで調べ始めた。生草と干し草では食感が全く異なり、水分量の違いが消化速度に影響を与える。牧草を干すことで糖分がキャラメリ化し、独特の風味が生まれるらしい。
栄養面ではタンパク質の含有率が若干低下する代わりに、保存性が格段に向上する。特に冬場の飼料としての価値は計り知れない。ただし、紫外線の曝露時間が長すぎると、リノール酸のような有益な脂肪酸が酸化してしまうデメリットもある。
牧草を干す時間の長さが栄養価にどう影響するか、研究データを読み込んでみた。最初の24時間で急速に水分が抜けた後、ゆっくりと成分変化が進む。カロテノイドのような色素成分は光分解を受けやすいため、陰干ししたものの方が濃度が高い。
繊維質のリグニンは乾燥過程で構造が変化し、反芻動物の消化効率が向上する。ただし、子牛のような若い個体には生草の柔らかい繊維の方が適している場合もある。季節ごとの栄養価の変動を考慮すると、単純な比較は難しい。
農家の知り合いが面白い比較実験をしていた。同じ畑の牧草を半分は生のまま、もう半分は天日干しにして分析したところ、カルシウムとリンのバランスに顕著な差が出た。干す過程でミネラル分が凝縮されるため、特に馬の骨格形成には干し草が適しているという結論だった。
一方で、ポリフェノール類のような抗酸化物質は30%ほど減少していた。収穫時期も重要で、春先に刈ったものと夏に刈ったものでは、乾燥後の栄養プロファイルが大きく異なる。牧草を干すのは単なる保存技術ではなく、栄養組成を意図的に変化させる知恵なのだ。
熱帯地域の牧草と温帯地域の牧草では、乾燥による栄養変化パターンが違う。高温多湿の環境で育った草は、乾燥させるときにモニリホルムという毒素が生成されるリスクがある。逆に寒冷地の牧草は、干すことで甘味が増す傾向が見られる。
面白いことに、乾燥方法によっても違いが出る。機械乾燥だと高温でタンパク質が変性しやすいが、天日干しならばゆっくりと水分が抜けるため、より自然な状態に近い栄養バランスが保たれる。