劇場の空気が変わる瞬間を覚えている。大スクリーンに映し出された
レヴィアタンが、昔の怪獣映画のような物理感と最新のCGの繊細さを併せ持っていたとき、その落差に胸が震えたことがある。
あの変遷を見ていると、初期のデザインが持っていた荒々しいシルエットと実在感が、段階を追って磨かれていった過程が手に取るようにわかる。昔風の質感を残しつつ、鱗のディテールや水流との相互作用、光の透過表現など、現代技術でしか表現できない要素が少しずつ追加されていったのが嬉しかった。たとえば'ゴジラ'世代の荒々しさへのリスペクトを保ちつつ、動きの有機性を重視している点には好感が持てた。
自分の目には、最後の段階でのビジュアルが最も説得力があった。巨大生物としての圧倒的な存在感を維持しつつ、ドラマ性や恐怖の伝わり方が洗練されている。万人受けするかは別として、映画ファンとしてはこの変遷を楽しめたし、デザインの“育て方”としては成功だと感じる。映像技術と古典的な怪獣造形の折衷がうまく噛み合った瞬間が好きだ。