古い写本と研究書のページをたどると、起源を知るための糸口が必ず見つかる。
僕はまず原典に当たることを勧める。最も有名な記述の一つは『ヨブ記』に見られる巨大な海獣に関する描写で、そこから派生した解釈や翻訳の差異を比較すると、どの要素が元々の物語で、どれが後世の補筆かが浮かび上がる。古代ヘブライ語やギリシャ語の語彙、同時代の近隣文化に残る類似神話も確認すると理解が深まる。
次に、民俗学や比較神話学の入門書、考古学的発見を扱った論文を読むことが役立つ。海洋生物や自然現象を擬人化した伝承がどのように統合されて“
レヴィアタン”像を形作ったのか、学術論文の脚注を辿ると具体的な出典に当たれる。また図像資料──古代の彫刻や写本の挿絵──を参照すれば、テキストだけでは見えない視覚的イメージの変遷も理解できる。
最後に、異なる訳や注釈書を複数読むことを勧める。翻訳者や注釈者の解釈の違いが、起源論の分岐点を示してくれるからだ。こうして異なる層を重ね合わせれば、レヴィアタンの起源が単一の出所ではなく、時間と地域を超えて編まれた複合的な物語であることが実感できるはずだ。