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物語の「間」を意識してみよう。会話の合間の沈黙や、動作と動作の繋ぎ目といった、普段は気に留めない瞬間こそが漫ろさの本質だ。『となりのトトロ』でメイが
雨宿りするシーンのような、何気ないけれど心に残る場面を参考にすると良い。
技術的には、コントラストを控えめにしつつ、特定の部分だけに微妙な色変化を持たせると目が休まる絵になる。全体のバランスを見ながら、どこか一箇所だけディテールを細かく描き込むと、不思議と作品に深みが生まれる。
誰もが経験したことのある「ふと気が抜けた瞬間」を想像してみてはどうだろう。昼下がりの窓際で本を読んでいるキャラクターの、ページをめくる手の動きをゆっくりにするとか、コップの水滴がゆっくり落ちる様子を描き加えるとか。動きのスピードを意識することで、自然と時間の流れが緩やかに感じられる絵になる。背景に風鈴やカーテンの揺れを添えると、より季節感も加わって良いアクセントになるよ。
音楽を聴きながら描くことをおすすめしたい。特にドビュッシーのピアノ曲のような、明確なメロディーより雰囲気を重視した曲が良い。リズムに合わせて筆を動かすのではなく、曲が醸し出す情緒を線に乗せていく感覚だ。
キャラクターのポーズも、あくびや伸びのような自然な動作をスケッチすると、生き生きとした日常感が出る。完成度より「一コマ切り取った」ような偶然性を残すことが、見る人の想像力を刺激する鍵になる。
描き手の感情を紙に移すように、まずは全体のトーンを決めることが大切だと思う。淡いパステルカラーを使うのか、それともモノクロに近いニュアンスで表現するのかで、作品の空気感は大きく変わる。
細部にこだわりすぎると硬い印象になるので、あえて輪郭をぼかしたり、背景を抽象的に描くのも効果的。『蟲師』のような作品を見ていると、余白の使い方で不思議な静けさが生まれているのに気付く。筆圧を変えながら、どこか儚げな線を探してみると良いかもしれない。
色彩心理学をちょっと応用してみるのはどう? 青系統の色を基調にすると落ち着いた印象になりやすいし、緑系なら自然との一体感が生まれる。『時をかける少女』の美術監督・山本二三さんの仕事を見ると、現実と非現実の狭間のような色使いが独特の浮遊感を作り出している。
光源を分散させるのもポイント。一点集中の強い影ではなく、いくつかの方向から柔らかい光が当たっているような描写にすると、現実味がありつもどこか夢見心地な雰囲気に近づける。