光と影の扱い方で趣のある意味はかなり決まる。僕はまず光源の質を観察してから撮影を組み立てることが多い。柔らかな拡散光が生む均一な陰影と、斜めから差す硬い光が作るコントラストでは伝わる“趣”がまったく異なる。たとえば古い家具の縁の擦れや壁の微かな汚れは、側光やリムライトで浮かび上がらせると物語性が増す。カメラの絞りを調整して被写界深度をコントロールし、どの層に視線を留めさせるかを意図的に決めるのがコツだ。
フィルムルックや粒状感を薄く残す現像処理もよく使う。僕は色温度をやや暖かく寄せ、ハイライトを押さえた柔らかな階調を好む。結果として得られるのは単なるきれいな写真ではなく、時間がたゆたうような印象であり、見る人がその空間に何かを感じ取る余地が生まれる。
参考までに映画『Call Me by Your Name』の室内描写のように、画面の余白と微妙な色味で人物や時間を想像させる手法はとても参考になる。僕はいつも“見せすぎない”余白を重視して撮るようにしている。