まずは外見と内面の“噛み合い”を設計する話から始めたい。私は絵やコマ割りでそのズレを小さな仕草や表情に落とし込むのが好きで、読者が一瞬で「
人外だ」と感じつつも共感できる余白を与えることを重視している。たとえば、巨大で無表情な存在がふっと見せる指先の震えや、光の反射を受けた目の揺らぎは、長々と説明するより強い説得力を持つ。外見の異質さは物語のフックにして、内面の矛盾や欲求はドラマにする。両者を対立させずに響き合わせることが肝心だ。
次にルールと制約の話をする。私は能力や生態に一貫した「縛り」を作ることで、読者がそのキャラの選択を理解しやすくなると考えている。無限の力や理由なき暴走は興味を削ぐことが多いので、弱点・代償・文化的背景といった要素を織り込む。世界観に根ざした食習慣や言語の癖、小さな迷信のような描写は、そのキャラを単なるモンスターから「そこに生きる存在」へと押し上げる。
最後に関係性の構築だ。私は他者との接触で人外キャラの魅力が最も映えると思っている。対話のリズムや立ち位置、触れ合いの不器用さが人間味を際立たせる。『進撃の巨人』のように謎めいた存在が世界の規範を揺さぶる例もあれば、日常の細部でじわじわと惹きつける方法もある。結局、読者がその存在に投資するには「理解の窓」をいくつか開けておくことが必要で、それが作者の腕の見せどころだと思う。