カメラワークの打ち合わせで、俺は監督から心理的な設計図を渡された感覚があった。感情の起伏を外に出す順序、台詞を言う前の一瞬のため息、視線の移動先――そうした細部まで計算されていた。監督は「まず内側を信じて、自分で変化を起こすな」と言い、極端なリアクションを封じた。代わりに小さな反応を積み重ねることで観客に気づかせる演技を求められた。
ディレクションは演劇的な手法と映画的な精密さが混ざっていて、日常の所作を書き直す作業が多かった。子どものころの怖れや喜びを書く課題を出され、それを匿名の日記として読み返して感情の温度を再現するように指示された。さらに、共演者とのリズムを合わせるために即興セッションも取り入れられ、自由に振る舞って得た驚きを後のテイクに活かすというやり方だった。
こうして作られた
エドワードは、表面的には静かでも常に何かを抱えているような人物になった。監督の細かな要求が僕の演技を研ぎ澄ませてくれたのを感じる。」