ギリシャのパルテノン神殿跡を訪れた時、崩れた石像群が語りかけてくるような気がしました。欠けた部分から逆に、当時の人々が何を考えていたかが見えてくるようです。
石像の面白さは、完成品だけでなく制作過程にもあります。ミケランジェロが『
囚われた
奴隷』で意図的に未完成状態にしたように、石の中に閉じ込められた形を解放するという発想は非常に詩的です。『ファイナルファンタジー』シリーズの
召喚獣像も、この概念をゲーム的に昇華させた好例でしょう。
現代では3Dプリント技術で石像を再現できる時代ですが、手作業で削り出す伝統技法の価値はますます高まっています。石と対話しながら形を作り上げる行為そのものが、一種のパフォーマンスアートと言えるかもしれません。