プロットの歯車にひびが入る瞬間を、いつも注視している。
私は作品に絡む不誠実さ――ここでは主に恋愛の裏切りや策略としての
cheating――がどう効くかを、まず「信頼の損耗」という観点で評価する。読者はキャラクターに一定の期待を抱き、その期待を裏切ることで驚きや怒り、共感が生まれる。だがその裏切りが単なるショック要素に過ぎないと感じられたら、読者は物語そのものの信頼を失う。だから事前の伏線、動機の厚み、そして行為の結果が物語世界で実際に作用することが不可欠だ。
具体的な処方箋としては、cheatingを導入するタイミングの調整、視点の切り替えによる同情のコントロール、そして行為が登場人物の成長や衝突をどう促すかを明確にすることを優先する。たとえば 'ゲーム・オブ・スローンズ' 的な政治的裏切りは世界観全体のパワーバランスを揺るがすため、結果を大胆に描けるが、同時に細かな積み重ねがないと唐突に見える。
結局、cheatingは便利な装置にも地雷にもなりうる。私は関係性を壊すことの重さを忘れないように原稿に助言する。すなわち、それが物語の筋を深め、人物を炙り出すためにあるなら歓迎するし、ただ波乱を作りたいだけなら慎重に止めることが多い。