企画の入り口として、まず『
ひがみ』の語彙を広げて捉える仕掛けが必要だと考える。嫉妬・羨望・劣等感・妬み……似て非なる感情を章立てで分け、それぞれに寄り添う記事枠を用意する。たとえば巻頭では古典と現代を結ぶ比較読み物を置き、『源氏物語』の登場人物が抱えた感情の構図を掘る一方で、現代のSNS時代における見えない比較の仕組みを解説する。読者が自分の感情の名前を見つけられることを目的にしている。
連載のフォーマットは複数用意すると効果的だ。短いエッセイ、体験談の寄稿、専門家によるコラム、そしてクリエイターに依頼したイラストや漫画で視覚的に伝える。たとえばある回は舞台芸術の競争と嫉妬に焦点を当て、『ガラスの仮面』的なライバル関係を軸に舞台裏の取材記事を入れる。別回では匿名投稿を募って共感を生む。記事ごとにトーンを変えれば飽きさせないし、読者層も広がる。
最後に編集的な配慮だが、センセーショナルに煽るのではなく、当事者の尊厳を保つ表現を徹底する。診断や自己肯定のワークシートを付ける回や、専門家による対処法を掲載することで、単なるゴシップで終わらせず読者の内面を整える手助けにしたい。こうして積み上げれば、『ひがみ』という負のラベルが、多面的に理解される連載になるはずだと感じている。