編集部が持つ強みを軸に考えると、
無碍関連書籍のマーケティングはコミュニティ作りと体験提供を両輪にするべきだと思う。
私はまずターゲットを細かく分けることを提案する。伝統文化に関心が深い層、モダンなライフスタイルに取り入れたい若年層、学術的・研究的視点を求める読者──それぞれに刺さる言葉遣いや流通チャネルが違う。例えば『禅と日本文化』のような古典的な文脈を参照する記事は学術寄りのメディアや学会系イベントで流す。反対に、日常生活へ落とし込むハウツーや写真中心のビジュアルはSNSや短い動画で拡散する。
次に、実際の施策だが、限定版の造本(紙や装丁にこだわる)、著者や現場の職人を招いたトークイベント、書店でのテーマ棚設置、短い音声サマリーの配信などを組み合わせると良い。私は、とくに現場の声を前面に出すプロモーションが効果的だと感じている。読者が「作り手の息遣い」を感じられると、本の持つ世界観への信頼がぐっと増す。
最後に測定と改善のサイクルを忘れないこと。どの媒体が読者を動かしたかを細かく追い、反応の良い施策にリソースを集中させる。無碍という概念は多面的だから、複数ルートで“触れてもらう”ことが最終的に広がりにつながるはずだ。