方言や歴史的背景が作品に色を添える小説に惹かれる私が挙げるのは『Lincoln in the Bardo』と『The Night Watchman』だ。前者は幽霊や群像の視点が交錯する実験的な構成で、断片的な証言をどう日本語で編むかが鍵になる。私はこの種の多声的なテクストが、日本語訳でどのように再構築されるかを観察するのが楽しい。
一方、『The Night Watchman』は先住民族の生活と近代国家の圧力を描いた重層的な物語で、文化固有の語りや固有名の扱い方が翻訳の質を左右する。私自身、登場人物の声を尊重する訳し方がされると、物語の倫理的な重みがより伝わると感じる。どちらの作品でも、翻訳者が歴史や文化の繊細さをきちんと汲み取ったうえで表現の自由も発揮してくれることを期待して読むつもりだ。
海外で翻訳版が出ていて比較的入手しやすいBL・男性同性愛小説をピックアップしてみた。まずは読みやすさや訳の出回り具合を基準に選んでいるので、蔵書や貸出リストに加えやすいと思う。
例として挙げたいのは、まず話題作の'Red, White & Royal Blue'。ロマンス寄りでテンポが良く、若年層から成人層まで幅広く支持されているため翻訳版も多数出ている。次に'Arthurle and Dante Discover the Secrets of the Universe'は友情と成長を描いた滋味深い作品で、教育現場やYA棚にも馴染む。'Simon vs. the Homo Sapiens Agenda'は明るめの青春譚で、図書館の導入本として扱いやすい。最後に'Less'はやや大人向けでユーモアと痛みが混在する作風だが、翻訳が多く海外での評価も高い。
個人的には、利用者の年齢層や閲覧環境を想定して選書するのが鍵だと考えている。若い読者向けには明るめの作品、深い人間描写を求める読者には大人向けの作品を混ぜるとバランスが取れる。私も実際に複数の翻訳版を見比べているが、版元や翻訳者の違いで印象がかなり変わるので、複数言語での所蔵を検討するのもおすすめだよ。