輪郭から攻めるのが自分流だ。
まず小さなサムネイルをたくさん描いて、
雷獣の“読める形”を探すことから始める。シルエットが強ければ遠景でもアイコンとして成立するし、視線の動きや電流の流れを想像しやすくなる。肉付けは次の段階で、四肢の骨格感や筋肉の付き方を獣類と鳥類、爬虫類など複数の参照を混ぜて組み合わせると自然に異形感が出せる。爪や鬣、尾の構造は稼働の見せ場になるから、ポーズ案は複数作るべきだ。
色と光の処理が最終的な印象を決める。帯電した毛並みや皮膚はメインの色相に対して補色の光を入れると高揚感が生まれるし、レイヤー合成は『オーバーレイ』や『スクリーン』を活用して電光の発光感を調整するといい。ブラシは硬い線で形を固めたあと、ソフトブラシやグロー効果でエッジをにじませ、スパークや粒子は小さなブラシで散らすと動きが出る。
個人的には、伝統画材のテクスチャをスキャンしてデジタルに重ねる方法も好む。これで毛や
鱗の微細な表情が豊かになり、単なる光の描写だけでなく素材感が生きる。参考にしたのは、自然描写と妖怪的表現が美しく融合した『もののけ姫』のビジュアルで、自然の力を宿す存在を描くときの“説得力”を学んだ。最終的には繰り返し描いて細部を詰めること、これが一番効くと感じている。