あなたの愛は遅すぎた
彼氏が事故で亡くなり、最期に「唯一の弟である平塚鶴本(ひらつか つるもと)の面倒を見てほしい」と私に託した。
私は彼を大学卒業まで支え、会社を立ち上げる手助けもした。けれどある夜、鶴本が酒に酔った勢いで、私たちは一線を越えてしまった。
その後、私たちの関係に悩んでいたとき、彼のデスクに置かれた私の写真と婚約指輪を目にした。
胸が大きく揺さぶられ、私は休憩室の扉を開け、二人の関係をはっきりさせようと思った。
ところが、扉を開けた瞬間、白いキャミソールが足元に落ちてきた。
私はその場に凍りついた。布団の中には、驚いた表情を浮かべる女性アシスタントを包み隠そうとする鶴本の姿があった。
「ノックくらいもできないのか?」
顔面が真っ白になるのを感じながら、私は慌てて退こうとした。だがそのとき、アシスタントの怯えた声が私を呼び止めた。
「裕美さん……服を取っていただけますか?」
彼女の瞳に潜む敵意を無視し、私は無言でキャミソールをベッドに投げ捨て、その場を逃げるように後にした。
会社を出るとすぐに、鶴本から電話がかかってきた。
「裕美姉……俺の部屋に勝手に入るのは、もうやめろ」
私は乾いた笑みを浮かべて「わかった」とだけ答えた。
それ以来、二度と彼の世界に足を踏み入れることはなかった。