流産したら元夫がライブ配信で追ってきたけど、今さら遅い
結婚して四年、一度もSNSを更新したことのない亮介が、珍しく投稿をした。
「本当に食いしん坊な子猫ちゃんだ」
添えられた写真には、ピンクの猫耳カチューシャをつけた女の子が、料理を食べている姿。辛さに顔を真っ赤にし、舌を出している。
――彼の会社の新人配信者、美優だった。
投稿からものの数十秒後、共通の知人がコメントをつけた。
「亮介、アカウント切り替え忘れてるぞ!」
その直後、亮介の投稿は消えた。だが、すぐに美優のSNSに同じ内容がアップされた。
......そして、スマホが鳴った。亮介からの電話だ。
以前の私なら、すぐにスクショを撮って証拠を押さえ、先手を打って問い詰めただろう。どうせ大喧嘩になるのは目に見えている。
でも今回は、スマホをじっと眺めるだけで、一度も取らずにいた。
呼び出し音が切れ、部屋には静寂だけが残る。