壊れた愛を捨てて、光へ向かう
舅が若者の生活を体験したいと言うので、俺は舅を連れて、妻が開業したばかりの高級バーへと軽く飲みに行った。
ところが、舅のためにカクテルを注文したばかりで、向かいのボックス席の男がグラスを手にこちらへ歩いて来た。
男は俺たちのテーブルに置かれたドリンクメニューに目を走らせ、侮蔑を含んだ笑みを浮かべた。
「五百円の酒しか頼まないのか?
そんなケチな奴、年寄りを連れてバーに来るな。
貧乏人はスラム街で大人しくしていればいい。こんな高級な場所は、お前らの来る場所じゃない」
俺は怒りを抑えながら立ち上がった。
「自分の金で飲んでいるんだ。お前に関係ないだろ」
すると男は突然いきり立ち、テーブルにあった飲み残しのビール瓶をつかみ上げ、俺の頭めがけて振り下ろした。
「俺の恋人はこのバーのオーナーなんだぞ。お前を殴り殺したとしても賠償できる!
貧乏人、俺の靴にこぼれた酒を舐め取るか、ここから出て行くか、どっちかにしろ。邪魔なんだよ」
俺は顔についた酒を拭い、怒りで全身が震えた。そのまま振り返り、ライブ配信を開始し、フォロワーたちに向かって言った。
「皆さん見逃さないでください。今から不倫の証拠を押さえます。妻のもう一つの家を調査しましょう」