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第49話
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離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1025話
しかし、清水霞の気位と手腕は、痛いほど分かっていた。清水霞が他の男と関わるのを防ぐため、桐島宗助は車に乗り込むなり中村秘書に伊藤拓也を調べるよう命じた。優秀な中村秘書は即座に伊藤拓也の経歴を調べ上げ、こう言った。「彼は資産家で、奥さんは亡くなり、息子は海外に留学しています」それを聞いて、桐島宗助は鼻で笑った。彼はズボンの裾を軽く叩き、中村秘書に言った。「伊藤さんに電話して、霞は俺の女だと伝えろ。他の男と再婚して欲しくないんだ。商売人は利益を重視する。彼は俺の意図を理解するだろう」中村秘書は、これはまずいと思った。桐島宗助の秘書として長年仕え、清水霞ともそれなりに付き合いがあった中村秘書は、清水霞は良い女性であり、桐島宗助にとってもプラスの存在だったと感じていた。桐島宗助がこのように彼女を冷遇するのは、良くないことだと思ったのだ。中村秘書は尋ねた。「社長にも彼女さんいますよね？藤井さんに夢中で、B市に数日長く滞在してまで一緒にいたのに、どうして今になって奥様に突っかかるんですか？」......藤井圭子？桐島宗助は、さっきまで彼女のことをすっかり忘れていた。確かに魅力的な女性だが、男の生理的欲求を満たすだけの玩具に過ぎない。本気で好きになったわけではない。しかし、だからといって清水霞のために他の女との関係を断つのも癪だった。それは清水霞を利するだけだ。桐島宗助は軽く鼻を鳴らした。「霞に調子に乗らせたくないだけだ」中村秘書は何も言えなかった。彼は仕事が早い。案の定、伊藤拓也は利益を見て、すぐに清水霞との関係を諦めた。会うことすらなく、電話一本で二人の関係は終わった。清水霞は驚かなかった。悲しくもなかった。とっくに予想していたのだ。そして、これが桐島宗助の仕業だと察した。だからこそ、B市で自分の力で生きていく決意をさらに固めた。男を頼りにしても無駄なのだ。本当に偶然だった。清水霞が事業で成功しようと決意した矢先、水谷苑が訪ねてきた。芽依の様子を見に来たと言いながら、清水霞にとって非常に嬉しい知らせを届けてくれたのだ。しかし、水谷苑はもったいぶった。なかなか話そうとしなかった。清水霞は彼女を居間に招き入れ、自らお茶を淹れた。二人は並んで座り、清水霞が言った。「私たちの間柄で、も
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1024話
清水霞は特に腹を立てる様子もなかった。離婚しているんだし、いい大人同士がたまに遊ぶくらいいいだろう。責任とか、どうでもいいでしょう？清水霞は鏡に映る自分に軽く微笑みかけ、ウェーブのかかった長い髪をかきあげた。彼女は淡い笑みを浮かべた。「宗助、私たちにはそれなりの思い出があるわ。それに、私ももう若くないし、これ以上時間や感情を無駄にしたくないの。あなたが働き盛りで、まだ他の女性と遊びたい気持ちも分かるわ......でも、私はあなたが落ち着くまで待つ気はない。宗助、ひどい結婚生活は一度で十分よ。二度はごめんだよ」......桐島宗助は眉をひそめた。「俺の周りにどれだけ女がいても、お前が一番大事なのは変わらない。お前の立場が変わることはない」清水霞の声はかすれて、どこか怠惰な響きがした。彼女は言った。「ちょっと余計なものがついて生まれただけで、自分が神様か何かだと思ってるの？世の中には男なんてごまんといるわ。あなたじゃなきゃダメってわけじゃないのよ」そう言うと、彼女の表情はさらに冷たくなった。「宗助、帰ってちょうだい。今夜はただの遊びよ。責任なんて感じる必要はないし、私も求めてないわ......この年になると体も欲求を覚えるものだし、別に決まった相手がいるわけでもない。今夜はちょっと高い男遊びをしたと思ってる」彼女はそばにあった財布から札束を取り出した。「腕はなかなかだったわ。満足した」......桐島宗助は目の前の札束を見つめた。4万円くらいだろうか。彼は怒り心頭だった。清水霞はさらに追い打ちをかけるように言った。「お金を持って出て行って。もう二度と来ないで。ここはあなたを歓迎しないわ」桐島宗助の顔色が曇った。彼は元妻を見つめ、低い声で言った。「霞、本気で言ってるのか？復縁したいと言ったのはお前の方だろう。俺に来るように頼んだのもお前だ。俺は来てやったし、お前とも寝た。まだ何か不満でもあるのか？」子供が起きる心配がなければ、清水霞はこちらに向かって殴りかかっていた。彼女は必死に感情を抑え、歯を食いしばって言った。「ええ、復縁したいと思った私がバカだったわ！もうこんなバカな真似はしたくないの......もういいでしょう？」桐島宗助もまた、プライドの高い男だった。彼は冷淡な彼女の様子
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1023話
桐島宗助はしばらくの間、睨みつけていた。長年連れ添った夫婦なのに、清水霞はあっさりと彼を手放した。未練のかけらもなく、嫉妬すらせず、ただ自分が幸せになりたい、自由に生きたい、贅沢な暮らしがしたいと、正直に言ったのだ。桐島宗助はそこで帰るべきだった。しかし、男の意地だろうか、彼は敗北を認められなかった。ましてや、彼女がまるで気にしていない様子が我慢できなかった。理性を失った桐島宗助は、突然彼女を抱き上げた。薄い黒のストッキングを足首まで引き下げ、清水霞はドレッサーの上に抱え上げられた。薄暗い光の中で、彼女の体は淡い光に包まれ、妖艶な美しさを放っていた。桐島宗助はかつてないほど焦っていた。何かを証明したい一心で、彼は自分の服を脱ぎ捨て、柔らかな彼女にぴったりと肌を寄せた......清水霞は抵抗し、必死に彼の肩を叩いた。「宗助、何するのよ！」しかし、男女の力の差は歴然としていた。彼女は彼の攻撃を止めることができず、抵抗するうちに力尽き、ドレッサーにもたれかかり、力強い侵入を余儀なくされた。薄暗い部屋に、喘ぎ声が響き渡った。軋むドレッサーの上の化粧品が彼女の背後でからんと転がり、その乾いた響きが、暗い夜の中で艶めかしい雰囲気を醸し出していた......桐島宗助の黒い瞳は、彼女を見つめていた。荒い息遣いは、彼の必死の自制を表していた。しかし、それでも快感のあまり、声が漏れてしまう。彼はめったにこんな風に我を失うことはなかった。ましてや、相手は長年連れ添った元妻なのだ。30分ほど堪能した後、彼はようやく落ち着きを取り戻した。清水霞はすでに抵抗する力は残っていなかった。彼のされるがままだった。ここからは彼のやりたいままだった。彼女は何度も何度も裏返された。そして、その激しい愛撫の中で、彼女はついに彼の名前を囁いた......「宗助。宗助......宗助......」......桐島宗助は歯を食いしばり、激しく動いた。最初は無理やりだったが、最後には二人とも快楽に溺れ、2回戦まで及んだ。二人の体は汗でびっしょりだった。桐島宗助は彼女の肩に顔をうずめ、荒い息遣いをしながら、優しく彼女の気分を尋ねた。清水霞は力なく、滑らかな脚をテーブルの端にかけ、軽く揺らしていた......彼女は我
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1022話
車内は薄暗く、桐島宗助は腕時計を見ると、すでに夜の10時半を回っていた。彼は車の中で待たずに、この家の主人のように、そのまま2階へ上がった。彼は不機嫌な顔をしていたので、使用人たちは誰も彼を止めることはできなかった。そもそも、ここの使用人たちは彼のことを知っていた。清水霞の元夫で、以前は親密な関係にあり、性病の検査までさせられたことも。桐島宗助は2階に着くと、寝室のドアを開けた。芽依はすやすやと眠っていた。家政婦は慌てて立ち上がり、「桐島様」と声をかけた。桐島宗助は彼女に外に出るように手で合図し、自分が子供の世話をすると言った。家政婦は何も言えず、頭を下げて急いで部屋を出て行った。桐島宗助の心には怒りが渦巻いていた。子供の世話をすると言ったものの、実際にはどうすればいいのか分からなかった。彼はベッドに横になり、眠っている赤ん坊を見つめ、その整った顔立ちを眺めていた......しかし、見れば見るほど、清水霞の顔に見えてきてしまう。彼は鼻で笑うと、腕を枕にして目を閉じた。不思議なことに、普段は軽い不眠症に悩まされている彼だが、赤ん坊のミルクの匂いと、かすかな寝息がまるで子守唄のように心地よく、すぐに眠りに落ちてしまった。夜更け、車の音で目が覚めた。清水霞が帰ってきたのだと彼は思った。二人のいちゃつく姿をみるのは御免だ。彼はそのまま横たわり、1階の物音を耳を澄ませて聞いていた......もちろん、心の中ではすでに辛辣な言葉を準備していた。1階では、清水霞が車から降りるとすぐに、桐島宗助の車に気づいた。幸い、伊藤拓也はその車に気づいていないようだった。清水霞は伊藤拓也と普通のデートをし、普通に別れを告げた。桐島宗助の影響を受けることなく、きちんとした振る舞いをしたのだ。伊藤拓也に「おやすみ」を言い、車が走り去るのを見送った。清水霞は服を整え、玄関に向かうと、すでに使用人が待っていて、「奥様、桐島様がみえています。2階にいらっしゃいます」と言った。清水霞の美しい顔は、氷のように冷たかった。彼女は階段を上り、ライトの灯りが彼女の体にあたり、その美しい姿を浮かび上がらせた。2階に着き、寝室のドアを開けると、部屋の灯りは消えていたが、かすかなお酒の匂いと、赤ん坊の吐き戻したミルクのやさしい香
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1021話
とはいえ、立ち去る際に桐島宗助は元妻を振り返って見てしまった。しかし彼女は視線を合わせることもなく......自分は彼女からのパーティーの招待を断り、綺麗な女優を選んだくせに、今さら何を期待しているんだ。清水霞は考えていた。本当の自愛とは、自分を愛することだ、と。彼女の冷淡さに桐島宗助は苛立った。もし彼女が少しでも不機嫌な素振りを見せ、「宗助」を呼び戻そうとしたなら、女優との関係など簡単に解消して、やり直すこともできたのに。しかし、清水霞はそれを望んでいなかった。唯一の女でなければ彼女の望みではない。誠実さがなければ、なおさら意味がない。子供のために籍を残すことと引き換えに、腐った結婚生活に耐えるつもりもない......彼女は悟った。地位のある男性と一緒になれるのが一番だが、そうでなければ自分が芽依の支えになると決めた。最悪、芽依は清水姓を名乗ればいい。清水芽依（しみず めい）だ。清水霞の繊細な目元には、強い決意が浮かんでいた。その決意は、艶やかな彼女の顔に、不思議な魅力を添えていた。桐島宗助は未練がましく彼女を見つめたが、結局藤井圭子とレストランを出て行った。その時、背後で物音がした。誰かが「宗助」と呼んだ気がした。桐島宗助は驚き、思わず振り返った。しかし、何もなかった。清水霞はナイフを持った手でステーキを切りながら、伊藤拓也と楽しそうに話していた。彼女の目に、自分の存在は映っていなかった。桐島宗助は唇を歪ませ、踵を返した。悔しさと焦りで、いてもたってもいられなかった。そして、車に乗り込んだ。桐島宗助は自分が未練たっぷりなわけではないことを証明したくて、藤井圭子を抱きしめ、激しくキスをした。熱が全身を駆け巡る。もしここにベッドがあれば、すぐにでも行為に及んでいたことだろう。ベッドはなくても、藤井圭子は桐島宗助の体にぴったりと寄り添い、腰をくねらせながら男を挑発した。桐島宗助は離婚後、何人かの女性と関係を持った。藤井圭子とも何度かあった。だが、一番良かったのは、元妻との時だった。燃え上がるような情熱は、彼を虜にした。車は小刻みに揺れ、桐島宗助は藤井圭子の体を弄んでいた。これは仕事終わりのいつものお楽しみで、後ろめたさなど感じたことはなかった。ただの遊びだ。桐島宗助は藤井圭子のことが気に入
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1020話
桐島宗助は振り返り、そして固まった。元夫婦が、それぞれ別の相手と来て、こんな所で鉢合わせるとは。桐島宗助は桐島霞の姿を捉え、そして伊藤拓也へと視線を移した。その目は、まるで格下の人間を見るような、明らかに不機嫌そうな様子だった。彼の隣には、人気女優がいた。30代前半、まさに男の守りが欲しい年頃。女は鋭い。彼女はすぐに場の空気が変わったことに気づき、桐島宗助の肩にそっと手を置き、優しい声で尋ねた。「宗助、知り合い？」「宗助」って？桐島霞は冷たく笑った。ずいぶん親しげだな。彼女は伊藤拓也の腕に抱きつき、にこやかに微笑んだ。桐島宗助はこの女になんと言うのか、見せてもらおうじゃないの。桐島宗助は慣れた様子で、軽く言った。「俺の元妻、清水霞（しみず かすみ）だ」そして清水霞に恋人を紹介した。「霞、俺の恋人、圭子だ」人気女優の藤井圭子（ふじい けいこ）は、どこか傲慢なところがあった。桐島宗助を完全に自分のものにしている自信があり、元妻など眼中にない。ましてや相手にも連れがいるのだ。彼女は面倒くさそうに手を差し出した。「清水さん、はじめまして」清水霞も愛想良くする気はなかった。下手に出て恥をかくのはごめんだ。彼女は上品に微笑み、桐島宗助だけを見て言った。「お相手が見つかってよかったわね。機会があれば、改めてお祝いさせて」桐島宗助は微笑みながら頷いた。彼は最初から最後まで、伊藤拓也に会釈すらしない。これは男特有の心理で、相手を見下しているか、存在を認めたくないのだ。桐島宗助は清水霞と長年夫婦だった。離婚したとはいえ、桐島宗助の心の中では、清水霞はまだ自分の妻であり、他の男に渡したくないのだ。もちろん、自分は恋人がいても構わない。これが男の身勝手さだ。しかし、その裏腹な本音は、決して表には出さない。二組はそれぞれ席に着いた。桐島宗助は女優と親密そうに振る舞っていた。そこには清水霞の反応を見たい、嫉妬させたいという思惑もあった。しかし、清水霞はそんなことで動じるだろうか？向こうの二人がどんなに熱を帯びていても、清水霞は微動だにしなかった。長続きする関係には、男からの尊敬が必要だ。だから彼女は伊藤拓也との食事を楽しみながらも、節度をわきまえていた......伊藤拓也は彼女のそんなところが貴重に思え、ま
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