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043 認めあい、許しあい

last update Dernière mise à jour: 2025-05-10 19:00:22

「私が好きだと、大地は迷惑?」

 海の言葉に大地が戸惑う。その質問は反則だろ。

「裕司〈ゆうじ〉から簡単に乗り換えた、軽薄な女って思ってる?」

「んなこと思ってねーよ。て言うか、アホなこと聞くんじゃねえよ」

「アホなことじゃないよ。私自身、そう思ってるんだから」

「……」

「私にとって、裕司はかけがえのない存在。裕司以外を好きになるなんて考えられないし、裕司以上の人がいるとも思わなかった」

「それでいいじゃないか。お前にとって、裕司はそういう存在だったんだ」

「でも裕司がいなくなって、心に大きな穴が開いて……生きてても仕方ない、そう思って死のうとして」

「そうだな」

「でもそんな時、大地に出会って。大地と過ごしていく内に、どんどん大地に惹かれていって……どうしてくれるのよ!」

「なんだなんだ、いきなり怒るな」

「うるさい馬鹿! 黙って聞け!」

「すいません……」

 青空〈そら〉がテーブルを叩いて笑う。

「裕司への気持ち、それが嘘だったんじゃないかって思うぐらい、あんたのことを考えるようになっていって……裕司の存在が、どんどん過去に変わっていって……それに気付いた時、私がどれだけ戸惑ったか分かる? どれだけ泣いたか分かる? 誰のせいだと思ってんのよ!」

「悪い、悪かった。だから少し落ち着けって」

「落ち着いていられる訳がないじゃない! これって、人生全てを賭けた問いでもあるんだから! それなのに大地は……大地は……

 私の覚悟を見ない振りして、聞かなかったような顔で逃げ続けて……ヘタレ! 童貞!」

「童貞は余計だろ」

「別にいいじゃん。あんたが童貞なのは本当なんだし」

「青空姉〈そらねえ〉……少し黙っててくれ」

「大地ってば、童貞だったんだ」

「海お前……自分で言っておきながら、なんでそこだけ冷静に突っ込むんだよ」

「だって大地の年齢なんだし、当然経験してるものだとばかり」

「んなもんねえよ。言

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    「私が好きだと、大地は迷惑?」 海の言葉に大地が戸惑う。その質問は反則だろ。「裕司〈ゆうじ〉から簡単に乗り換えた、軽薄な女って思ってる?」「んなこと思ってねーよ。て言うか、アホなこと聞くんじゃねえよ」「アホなことじゃないよ。私自身、そう思ってるんだから」「……」「私にとって、裕司はかけがえのない存在。裕司以外を好きになるなんて考えられないし、裕司以上の人がいるとも思わなかった」「それでいいじゃないか。お前にとって、裕司はそういう存在だったんだ」「でも裕司がいなくなって、心に大きな穴が開いて……生きてても仕方ない、そう思って死のうとして」「そうだな」「でもそんな時、大地に出会って。大地と過ごしていく内に、どんどん大地に惹かれていって……どうしてくれるのよ!」「なんだなんだ、いきなり怒るな」「うるさい馬鹿! 黙って聞け!」「すいません……」 青空〈そら〉がテーブルを叩いて笑う。「裕司への気持ち、それが嘘だったんじゃないかって思うぐらい、あんたのことを考えるようになっていって……裕司の存在が、どんどん過去に変わっていって……それに気付いた時、私がどれだけ戸惑ったか分かる? どれだけ泣いたか分かる? 誰のせいだと思ってんのよ!」「悪い、悪かった。だから少し落ち着けって」「落ち着いていられる訳がないじゃない! これって、人生全てを賭けた問いでもあるんだから! それなのに大地は……大地は……  私の覚悟を見ない振りして、聞かなかったような顔で逃げ続けて……ヘタレ! 童貞!」「童貞は余計だろ」「別にいいじゃん。あんたが童貞なのは本当なんだし」「青空姉〈そらねえ〉……少し黙っててくれ」「大地ってば、童貞だったんだ」「海お前……自分で言っておきながら、なんでそこだけ冷静に突っ込むんだよ」「だって大地の年齢なんだし、当然経験してるものだとばかり」「んなもんねえよ。言

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