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第8話

Author: 子豚狐
「瑞希、お前……その人は……?」

少し離れたところから歩いてきた慎一は、信じられないものでも見るように私たちを見つめていた。

婚約者が「知り合い?」とでも言いたげにこちらを見た。

私は試着していた指輪を外してから、慎一に目を向けた。

「前に付き合ってた人。うちの会社の相川部長」

それから慎一にも紹介した。

「こっちは私の婚約者。研究所の提携先に勤めていて、大学の先輩でもある南条晃(なんじょう あきら)」

晃は慎一をひと目見て、ふっと笑った。

「瑞希、昔はずいぶん見る目がなかったんだな」

「そういうこともあるよ。優しくされたら、見えなくなることだってあるから」

私は苦笑した。

慎一の表情が一気にこわばった。私と晃を交互に見つめるうちに、目に浮かんだ驚きや焦りは、やがて絶望へと変わっていった。

「瑞希、嘘だろ?俺たち、まだ別れてないよな?それなのに、なんで婚約者がいるんだ。いつ婚約したんだよ?」

慎一が手を伸ばしかけたので、私は少し下がってその手を避けた。

「慎一、私たちはもう別れてるよ。最後のメッセージを送ったあの日に、もう終わってたの。あなたは、そう思ってな
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