His Possession

His Possession

last updateLast Updated : 2021-04-18
By:  f0rbiddendesiresCompleted
Language: English
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Taylor Andrews didn't know about her brother's lifestyle of drugs and gangs until she moved back home. Trying to find herself again she begins doing and trying new things. That's when she runs into him, Lucas Blake. She recognizes him after seeing him with her brother but has no clue that he is one of the top drug Lords around. Lucas brings out a side of Taylor that she never knew existed and introduces her to a world she was never meant to belong to. When she finds out he is after her brother she finds herself lost and confused. Did he only use her to get to him? Or did she somehow break his hard shell?

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Chapter 1

Introduction

「高坂初音(こうさか はつね)様、ウェディングプランの解約に伴い、契約どおり前金の二割を差し引かせていただきます。問題なければ、こちらにご署名をお願いします」

スタッフが念のためもう一度確認してから、解約書とペンを差し出す。署名欄まで漏れのないように丁寧に案内してくれる。

若い女性スタッフが、好奇心を隠そうともせず、目を輝かせてこちらを見ていた。けれど、最後まで言葉を飲み込んだままだった。

無理もない。

三年前に予約したウェディングプランだ。

二度も打ち合わせを重ね、リハーサルまでしたが、結局何ひとつ形にならなかった。

そして今日になっても、この結婚は実らなかった。

むしろ「キャンセル」という知らせのほうが先になった。

誰だって事情を知りたくなる。

けれど、誰も知らない。

十年付き合ってきた恋人と結婚するつもりでいた私が、婚約を解くと決めるまでにかかったのは、たった一晩だった。

その決意にとどめを刺したのは、早瀬陽向(はやせ ひなた)が本棚のいちばん上に隠していた、ひとつのブロック模型だ。

月末の大掃除で、私は本棚をうっかり倒してしまった。

分厚い棚板とずっしり重いブロックの部材が当たって、私はくらりと目が回る。

大きな音に気づいた陽向が慌てて書斎に来た。けれど彼が最初にしたのは、私を気づかうことでも、起こしてくれることでもなかった。彼は床に散らばったピースを見下ろして、見たことのない怒りをあらわにしたのだ。

「初音、誕生日プレゼントが気に入らないからって、俺の物を投げることないだろ!」

私が説明をするより早く、陽向は「出ていけ」と言い放った。

玄関先に一晩立ち尽くし、何度も何度も謝った。だが、戻ってきたのは冷たい通告だけ。

「近隣の迷惑になりますので、お引き取りください」と、警備員にそう告げられ、私は追い払われた。

私は同じ品を買い直し、前と同じように千字の謝罪文を手書きして、陽向に送った。

けれど返事は来ない。代わりに、別の女の子のSNSのタイムラインで、彼の姿を見かけた。

香月玲奈(こうづき れな)――陽向の可愛がっている後輩だ。

玲奈はインスタに写真をまとめて上げていた。にぎやかな居酒屋の飲み会ショットが並ぶ中、真ん中の一枚だけ、場違いなブロックの城が写っている。

【論文が無事に発表されたお祝いに、先輩が徹夜でホグワーツ城を組み立ててくれた!

うれしすぎる。ハリー・ポッターは、私の子ども時代でいちばん大切な思い出なんだよね】

投稿して一分もしないうちに、陽向のコメントが付く。

【気に入ってくれたならよかった】

玲奈の返信もすぐだ。

【先輩、ありがとう!一度言っただけなのに覚えててくれて、めっちゃうれしい!】

二人のやり取りは続く。

内容は取り立てて特別でもない。

それでも、胸のどこかがちくりと痛んだ。

先月、私は三十三歳の誕生日を迎えた。

さりげなく、陽向に口紅が欲しいとほのめかした。

けれど、彼は露骨に驚いた顔をして、皮肉っぽく言った。

「いい歳して若い子みたいに飾り立てる必要はないだろ。若い子は見栄えのためにやるもんだが、俺たちはもう十年だ。今さら見栄えを気にしてどうする?」

彼の言葉は容赦がなかった。

それでも当日には、彼は口紅を一つくれた。

私はうれしかった。心のどこかで、まだ私を思ってくれているのだと信じた。

けれど、思いもしなかった。

そんな私の願いより、玲奈の何気ないひと言のほうを、彼はきちんと覚えていた。

三十万円のブロックセットをためらいなく買ってあげた。

そんな特別扱いを――

正真正銘の彼女である私は、この十年、一度も受けたことがない。

思えば、この十年は自分でつくった夢に過ぎない。今こそ、目を覚ますときだ。
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iambest
iambest
WOW as in WOW!!!! It's so great!
2024-02-01 12:42:36
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Imee Caravaca
Imee Caravaca
Great read!! I couldn’t put it down.
2022-09-19 01:53:11
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Raychelle
Raychelle
I lost count, on how many times I reread this book. Such a great book
2022-08-05 21:08:03
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Carrie Nottingham
Carrie Nottingham
Love this book! Well written... A keeper!
2022-07-10 01:42:47
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DeLuca
DeLuca
I've read this book... I don't know how many times and I'm still inlove with it. <3
2022-03-02 00:38:40
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