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17.人選

Penulis: 神木セイユ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-17 17:00:00

「春樹さんは ? 

 死にたいって、思った事ない ? 」

「そりゃあ、もちろんあるよ。

 でももう言わない」

 蛍は焦っていた。

 春樹は頑なに自殺願望を否定するばかり。なにかの強迫観念か、それともカウンセリングによる思考制御によるものか。とにかく春樹は『死の願望』を口にするとは思えない様子である。

「俺ね。ずっと引きこもりでさ。その時は自分はこのまま生きていくんだ……って、親に甘えてた。ほんとにね、甘えだったんだよ」

 驚く事に春樹は、本来隠したいはずの過去の自分の話を、高校生の蛍に告白するほどの余裕があった。

「確かに鬱気味で病院にも通ってた。でも、本当の自分を分かってるのは自分だけだし」

 だがこれは高校生に対しての、見栄であった。自分は大人であり、悟った人間なのだというマウント。

 しかし蛍には春樹が余裕にしているように見えるのだ。

「精神病院に行ったからって、仕事貰えるわけじゃないし。いつまでもグズグズしてられないなってさ。

    そもそも本当は、誰だって仕事なんかしたくないものさ」

「えぇ〜 !? 大人なのに ? 」

 変える。

 作戦を『煽り』へ。

「大人なのに働かないって……僕ですらアルバイトはしてるのに。

    じゃあ春樹さん、クズ人間じゃん ? 」

   春樹を指差し、ケラケラと笑って見せる。

「そうだよね。君の言う通り。って言うか、もうバイトしてるんだ、偉いよ。

 俺、馬鹿でさぁ。その馬鹿に気付いたのは、いよいよ親が亡くなった時だったよ。急だったから、俺……どうしていいか分からないし、金も無いし……。

 情けないことにそれまで気付けなかったんだ」

「親が亡くなったら、余計頑張らないといけないんじゃないの ? お金無いのに今までなんで無職だったの ? 」

「頑張り方なんて分から

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  • PSYCHO-w   19.乱入

     事が起きたのは次の瞬間だ。 椎名が福田側のコンテナを解放した時、何かとてつもない気配が横をすり抜けた。  大きな猫か蛇か……足音も立てない猛獣が、春樹側のコンテナに滑り込んで来た。「てめぇ〜っ !! このやろぉ !!!! 」 梅乃は福田に使っていた支柱をそのまま手に、ルキの止める隙もなく手を振り上げる。「っらぁぁぁぁっ !! 」 犯行時間、僅か4秒。 蛍に突き刺さる鋭利なパイプの残骸。  床に伸びていた蛍が抵抗できるはずもなく、そのまま腹を三箇所刺される。「ぐぷっ ! ガッハッ !! 」 一度は目を見開き反射的に呻くが、蛍は起き上がれないまま。「アチャ〜……まだ話の途中だったんだけど……」 致命傷だ。  ここから病院へ運んでも、助かる見込みは無いだろう。「まぁ仕方ない。  梅乃ちゃん、これでルール通りだね ? 」「ああ。いいぜ。確認した。  せぇせぇしたぜ。もうテメェのビジネスには付き合わねぇ。部下も巻き込ませねぇ」「分かったよ。  さぁ、梅乃ちゃんは目的達成。春樹さんも受け取り部屋に言って話を聞いて下さい。  椎名、観覧者の所まで戻るよ」「……ええ……」 ルキは梅乃がコンテナから出たのを確認し、蛍を抱き抱える。「医務室から先生呼んで」「治療ですか ? 」「ああ。ケイを観覧者へ競売にかけるから」「え !? 助ける……のではなく ? 」 これは椎名には意外だったようだ。「だってその方がケイの酷い顔が拝めそうじゃん ? 写真とか年に一回送ってくれないかなぁ〜」「……そういう事ですか。福田はどうされますか ? 」「誰か別の部下に任せて。病院の前にでも捨てて来なよ」「はい」 途切れ途切れの意識の中の会話。  蛍はもう終わりの時を迎えようとしていた。

  • PSYCHO-w   17.人選

    「春樹さんは ? 死にたいって、思った事ない ? 」「そりゃあ、もちろんあるよ。 でももう言わない」 蛍は焦っていた。 春樹は頑なに自殺願望を否定するばかり。なにかの強迫観念か、それともカウンセリングによる思考制御によるものか。とにかく春樹は『死の願望』を口にするとは思えない様子である。「俺ね。ずっと引きこもりでさ。その時は自分はこのまま生きていくんだ……って、親に甘えてた。ほんとにね、甘えだったんだよ」 驚く事に春樹は、本来隠したいはずの過去の自分の話を、高校生の蛍に告白するほどの余裕があった。「確かに鬱気味で病院にも通ってた。でも、本当の自分を分かってるのは自分だけだし」 だがこれは高校生に対しての、見栄であった。自分は大人であり、悟った人間なのだというマウント。 しかし蛍には春樹が余裕にしているように見えるのだ。「精神病院に行ったからって、仕事貰えるわけじゃないし。いつまでもグズグズしてられないなってさ。 そもそも本当は、誰だって仕事なんかしたくないものさ」「えぇ〜 !? 大人なのに ? 」 変える。 作戦を『煽り』へ。「大人なのに働かないって……僕ですらアルバイトはしてるのに。 じゃあ春樹さん、クズ人間じゃん ? 」 春樹を指差し、ケラケラと笑って見せる。「そうだよね。君の言う通り。って言うか、もうバイトしてるんだ、偉いよ。 俺、馬鹿でさぁ。その馬鹿に気付いたのは、いよいよ親が亡くなった時だったよ。急だったから、俺……どうしていいか分からないし、金も無いし……。 情けないことにそれまで気付けなかったんだ」「親が亡くなったら、余計頑張らないといけないんじゃないの ? お金無いのに今までなんで無職だったの ? 」「頑張り方なんて分から

  • PSYCHO-w   16.好文木の悪魔

     梅乃が手にしたスタンドカメラは、梅乃の部下が置いたものだ。準備段階の際に、どうしてもドア付近のコンクリート壁に機械類を取り付けられず、一台だけ妥協でスタンドに切り替えた物だった。  勿論、主催からも確認済みである。  途中で取り上げられることは無いだろう。「てめぇ。福田 一夫…… ? 五百万の福田 一夫か ? 」「ふぇ !? 」「五百万借りて、てめぇ幾らまで膨らんでると思ってんだ !! 」「え !? あなたは !? えぇ !? 」「ありゃわたしの金って事だよ。  さぁ、覚悟すんだな」 スタンドの三脚部分を掴むと、思い切り振り落とす。 ガッ !! ゴッ !! ガッ !! 「アヒャァーーーーッ !! 」 容赦。手加減。  これが梅乃にあるはずが無い。「ゆっくり味わえよ !! うぉらァ !! 」 スタンドで殴りつけ、蹴り飛ばし、逃げようと四つん這いになった福田の脹ら脛めがけ、一本目を突き刺した。「ぎゃぁぁあああああああっ !! 」 一番細い棒だ。  飛び散る程の出血では無いが、刺さりやすく床にまで達した。「あ、あぐぅ !! 」「そのくらいじゃ死なねぇよ。  こりゃあいい。ゆ〜くり拷問してやるよ。もう返済なんていらねぇからよ」 拷問。 しかし、これには無理があると福田は気付かなかった。  もし梅乃がカタギじゃないにしても、拷問目的で福田を連れて来たのならば、道具が無さすぎる。刃物や水の類だ。  更に先に起きたのは福田で、梅乃も最初混乱していた様子を見ていたはずだ。 しかし、その違和感に福田は気付けなかった。その上、ここまでの痛みを受けると最早手遅れだ。福田はそんなことまで気が回らないだろう。 梅乃は二本目を取り出すと福田に命じる。「服脱げ。全部 ! 」「ひ、ひぃ……痛い ! 痛い〜 ! 」「遅せぇよ !! 全部脱げ !!  抜いてやるよ、この刺さってる邪魔なやつ ! 」 梅乃は脹ら脛に刺さっている棒を、ローファーの靴底で前後にグニグニと踏みにじり傷口を広げる。「ふぎゃー !! やめてやめてやめてやめてやめてやめて !! んぎゃーーーーーーっ !! 」「オラァ ! 」 その床にまで達していた棒を、わざと乱暴に、斜めに蹴り落とす。  勢いよく抜けた棒は高く飛ぶと、弧を描いて床に落ちた。 カンッ……

  • PSYCHO-w   15.思考回路

     蛍は春樹が起きると、自身をパニックに陥った様に見せた。「落ち着いたかい ? 」「うん」 春樹に背を摩られ、ようやく獲物との会話が始まる。「蛍君は今、夏休み ? 」「う、うん。そうなんだ。春樹さんは ? 」「はは、社会人はお盆だけで夏休みなんかないよ。俺はまだいいけど、この辺りは飲食店なんかが多い観光地だし。かき入れ時だよね……えーと……あれ ? 俺。今『この辺りは』って言ったけれど、どこなんだここ」「窓がないし、分からないね……僕は西湊市からきたんだ」「西湊 !? 俺のアパートは北湊の海岸沿いだよ ? もしかしたら全然違う場所に連れて来られたのかも。何が目的なんだ……。俺たちは面識もないし」 ここから仕掛ける。 蛍の策。「……。 でも、僕……家に帰れなくてもいいんだ」「…… ? 何を言ってるの ? 普通じゃないよ、この状況は。親御さんも心配するでしょ ? 」 蛍は顔を上げると、今にも泣き出しそうな瞳で春樹を見上げた。「心配なんか、されてないよ。僕っ、お父さんにいつも怒られるんだ。……学校でも上手くいってないし……。家には帰りたくない……。 お父さんはいつも僕を殴るから……怖いんだ。 今日も、何も言わずに出てきた事になるから、絶対殴られるもん ! 」「それって……」 春樹が蛍の側頭部のたん瘤を眺める。痛々しい打撲痕。そう古い傷でも無いし、父親の常習性が伺えると思った。そう思い込まされてしまった。 春樹の両親は既に他界している。 蛍は、春樹を『引きこもりの

  • PSYCHO-w   14.コンテナゲーム

     数分後、スミスのイヤホンに指示が入る。 数台あるうちの一台のモニターを付ける。 画面の向こうは、恐らく観覧者の部屋だ。舞台があり、袖から颯爽とルキが姿を現す。『会員の皆様。この度、我々主催の観覧会にお集まりいただき感謝いたします。 実は真実を申しますと、僕が一番望んでいたかもしれません、今回のゲームを ! 』 くすくす………ざわざわ…… しばらくルキの挨拶が続く。 酒が入って、いい気分になった頃合いの観覧者達。大いに盛り上がっているようだ。 皆がルキを見上げ、上品にグラスを傾ける。百人は居ようかという観覧者の中、ルキが進行を続ける。『今回のゲームは、前回の生存者 涼川 蛍と、クラスメイトながら涼川家から金目的に詐欺を仕掛けようとした悪徳業者の山王寺ホールディングス、その組織のマフィアのボス 山王寺 梅乃の勝負となります ! 』 これをモニターで見た蛍は驚いてスミスを見上げる。「はぁ !? 他の参加者とか無し ? 今回は俺と梅乃 !? 」「蛍さん、静かに。ルールの説明があります」 スミスになだめられ、一度踏みとどまる。『それでは二人の様子をご覧下さい ! 』「え……っ ! ちょっ」 ルキのそばにあったモニターに蛍の姿が写ったが、一瞬しか確認できなかった。 スミスが蛍側のモニターを切ったのだ。「それでは、ゲームの説明をいたします」「……そういう事かよ……」 ここからは観覧者に観られている、ということだ。 しかし蛍はどんどん自分の中にある何かが、冷えていくのを感じていた。 もう後には引けない。 ルキに負けを予想されているのも面白くないことだった。「山王寺 梅乃さんは興奮しやすいため、このまま後ろにあるコンテナに入っていただきます。 

  • PSYCHO-w   13.疑惑

     船の中は狭い廊下にゴツいパーツ。 豪華さなど何も無い質素な空間だった。「観覧者って、金持ちなんだろ ? こんな雑な場所に来んの ? 」「お客様はこっちだよ」 ルキが甲板へ向かう。 積み重なったコンテナの中の一つを開ける。 暗幕があり、手の甲でソッと隙間を作る。 無数の人影が見えた。「うわ……なんか、いかにもって感じの部屋……」「外からじゃ全然分からなかったでしょ。ホールがあって、その外周をコンテナで囲んである」 中はまだ薄暗く、窓のない密室とは思えないほど広い。上流階級の夜会のような高貴な空間と、ドレスを着込んだ大人達。趣味のいいフレグランスの香りに混じり、アルコールと煙草の臭いが混じり合っている。床は絨毯張りで、天井も高く、小さなシャンデリアが幾つも連なってギラギラ輝いていた。 そして、正面に大きなスクリーンが二張あった。 まだ何も写ってはいないが、恐らく自分はこのスクリーンで観覧されるのだろうと理解した。「あんたもここにいるの ? 」 暗幕を元に戻すと、ルキは首を横に振る。「最初と最後に顔は出すけど、殆どこのフロアにはいないよ」 一度外に出ると、船の上の船員の居住空間を指す。「あそこが俺がいるところ。一番高い部分。裏の部屋から繋がってるんだ。 船の中にもコンテナはビッチリ。その中でケイがゲームするんだよ」 零れた一つの情報。 ビッチリ積んだコンテナ船の中。 ゲームをする為に自分は何処かに詰められる。だとしたら、それは恐らくそのコンテナの中なんだろうという事。 蛍はホール外周にあるコンテナをそっと触る。 金属質で外からも内側からも破壊は出来ないだろう。勿論、外側からしか開かない。 密室ゲームだ。 何かをなさなければクリア出来ないゲーム。「俺は負けないよ」「勿論。期待してる」 蛍のぎらつく様な欲望と勝利への確信

  • PSYCHO-w   12.コンテナ船

    「さぁ、着いたわ。海なのに暑いわねぇ ! 風がないからじっとりする ! 」 ルキが蛍の部屋へ来た一週間後。  夏休みに入った蛍は結々花に連れられ、湊市郊外の海岸沿いへ来ていた。  湊市は蛍の住む東湊のすぐ隣に位置する。観光スポットが多い地域で、駅前には蛍の通う日々野高校と図書館がある。  海水浴場から離れたこの場所には、広いコンテナターミナルがある。目の前の海には目一杯コンテナが積まれた大型船がいた。  この船が今回の開催場所だった。「あんたも乗るの ? 」「まさかぁ〜 ! ケイ君を運営に引き渡して終了よ ! 」 時刻は14時。  まだ明るいが、時間を指定されここへ呼ばれた。 結々花と二人、案内役が来るまで待機だ。炎天下のターミナルで船を見上げ続ける。 沈黙に耐えられないのは結々花の方で、デスゲームの前時間とは思えない明るさで蛍に喋り続けた。「うーっ ! これから図書館に戻んなきゃなのよねぇ。 本をね、こう ! 取った場所じゃないところに皆んな戻すのよ ! 次に仮す人が困るし、本当にやめて欲しいわ。 スーパーでもいるじゃない ? 生鮮食品をお菓子の棚とかにポンって置き去りにする奴 ! 傷んじゃうわよね。 あ、スーパーと違うのは、図書館は机とか本棚の隅の方に落書きとかが……」「うるさいなぁ。俺、これからルールも知らない怪しいゲームさせられるってのに。  ねぇ、コンテナだらけなのに、人が全くいないんだけど。普通、ここに勤めてる作業員とかいるんじゃないの ? 」「さぁ ? 確かに普段はいるんじゃない ? 今日だけ人払いしてあるんでしょ。万が一、船に紛れ込まれたら、そいつの人生終わりなわけだし。悲惨よ。  あの船がそうなんだけど……。それにしても、ケイ君の引き取り手が全然来な……あ、来た」 船を見上げる二人とは全く別の方角。  コンテナ置き場の隙間から、黒塗りの車が数台出て来て停まる。部下たちにしては丁重すぎる。この地方の港でもそれなりに浮かないギリギリのラインの高級車達。「……本人の出迎えか……。  拉致でもないし、ケイ君ほんとに好かれてるのね」「やめて。嫌がらせの間違いだから」 この時、結々花は不穏な空気を感じていた。  今まで幾度と無いゲームの関係者を見てきたが、

  • PSYCHO-w   11.生け贄

    「ケイ。M&Aって知ってる ? 」「 ? M&Aって何 ? 何の用語 ? 」「簡単に言うと、企業を売ります、譲ります、買いますって意味だよ」 途端、蛍の目が据わる。  直前に重明が口走っていた話題だ。涼川葬儀屋を手放そうと考えていると言っていた。そこにこのタイミングでルキが情報を開示してきた。危険な予感しかしない。「どういう事 ? 」「小さな企業が大手に買い取って欲しいと思った時、自分で相手を探すのは容易でないんだ。だからその為の仲介業者も存在する。売りたい企業と買いたい企業を上手く釣り合うような相手をお見合いさせてあげるわけ。俺の知ってる業者のリストにさ、涼川葬儀屋の名前があったんだよ」「……まさか…… ! 」 重明が葬儀屋を手放そうと考えた時、たまたま相談した業者がブラックだった。しかし、ルキは会社名は出さず、あくまで自分の息のかかった範囲内だという事だけを伝える。あくまで自分に蛍を繋ぎ止めておく為の餌だ。最も、この情報は真実である。「俺も驚いたけど、ケイは心当たりある ? 」「……」「そっか」 これには蛍もルキを今すぐ帰す理由は無い。動揺した様子で頭を抱えている。蛍の反応に満足したルキは、静かに立ち上がると机の中にファイルを戻した。「仲介業者に依頼したところで、すぐに話が決まる訳じゃないから安心しなよ。  あくまで、『ここを売ると言ったらどんな企業が手を挙げますか ?』って相談してる段階 。業者は『貴方ならこんな会社がいいのでは ? 』ってリストアップされる」「でもあんたが絡んでる仲介業者なんだろ ? 最悪すぎる」「見つけたけど、俺はこの先もここには何もしないし、要らないよ。葬儀屋なんて。  今回『涼川葬儀屋が欲しいです』って話を進めて来たのは他の会社だよ。  ただね。その業者はかなりやり手のブラックで俺もよく知ってる」 ルキの手とカミソリの刃が、蛍の頬を撫でるようにスルッと包み込む。「ケイ ? よく聞きなよ。

  • PSYCHO-w   10.玩具のように

    「凄いね」 ルキがファイルを開く。 そこには小分けされたシートが何ページもあり、各ポケットに『日付』『名前』『死因』のラベルと、一摘みの遺髪がコレクションされていた。「連続殺人鬼も被害者の一部や所持品を持ち帰る……それもだいたい同じ系統の物だ。指輪だったり眼球だったり。 ケイ、君は毛髪か……他は ? 無いの ? 」 ルキはまるでジュースの好みでも語らうように問いかける。「……」 蛍は答えない。 この男は再び自分にゲームをさせたいはずだ。ならば今までの悪事を吹き込み、警察に突き出す事はしないだろう。 しかし、ファイルを見られたのは誤算だった。「ケイ、黙ってちゃ分かんないよ。コレクションはこれだけ ? 葬儀なんてひっきりなしに入ってるみたいじゃん。少なくない ? 」 闇雲に収集する者もいるが、中には気に入った被害者の持ち物しかコレクションしない者もいる。蛍は後者である。「ケイはただのお手伝いだよね ? 御遺体といれる時間なんて長くないだろうし……でも、思春期真っ只中の男の子が遺髪だけで欲を満たしてるとは思えないなぁ。 あ、もしかしてすぐイッちゃう方 ? 」「それ、答える奴いるのか ? 」「いいじゃん。 そうだ。ねぇ、ケイ。一人でして見せてよ」「は……はあぁ !? 」「こんな大切に保管してるんだ。勿論、使ってるだろ ? 見たところ汚れはないけど。 どう使ってるのか見たいな」 ルキの手が蛍のシャツの中に入る。 右胸をサラサラと撫でるだけだが、これでは動揺している鼓動がバレてしまう。「っざけるな ! 教える義理はない。ただのコレクション。それだけ ! 離れろよ ! 」 しかしルキは離れないどころか蛍の上に覆い被さる。

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