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Auteur: 美桜
last update Date de publication: 2026-05-07 09:06:11

2週間後。

とある小国の姫がお忍びでこの国にやって来ているという噂が、社交界にまことしやかに流れ出た。

その姫のいるL国は小さいながらも豊富な資源に恵まれて、かなり豊かな国だった。

皆は噂が流れて以来なんとかこの姫との接触を試みていたが、幼い頃はともかく、成長してからの写真など姿を確認できるものが何も流出しない為、誰もそれに成功しなかった。

だがつい最近、真田家の主催にてこの姫を招いての歓迎晩餐会が開かれるという話が出て、その招待状を巡って各家からの根回しや交渉がいろいろなところで目につくようになっていた。

そんな時、この界隈でも特に大きな家でもない宗方家に、その招待状がいち早く届けられたという。

人々は我先にと宗方家に接触を図り、いったいどういう繋がりなのかと探りを入れ、そのおこぼれに預かろうと親しげに近づいて来た。

家の中には贈り物が溢れかえり、両親も祖父母も皆、呆気に取られていた。

「陸…お前、いったいどこでこの姫と知り合ったんだ?」

父親に問われて、手にした招待状の宛名〝宗方陸様〟という文字を見ていた陸は、得意げに顔を上げた。

「別に。大したことはないよ。ちょっと、真田家との
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  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   135

    「ひどいわっ…」眉をきゅっと寄せて泣きそうな声で訴えるも、准は首を傾げるだけだった。「ひどい?私のことか?」「そうよ!」「紗英、やめろっ」そのとぼけた声に腹が立って、紗英は兄の匠が止めるのも聞かずに言い放った。「ちょっと映像をイジっただけじゃないっ。大したことじゃないでしょ!?」「ちょっとイジっただけ…?」彼女の言葉が放たれた瞬間、准の雰囲気が変わった。「お前のその行動が、俺の婚約者の命を奪う結果になるかもしれなくても…そう言えるのか…?」「え……」命を奪う?なにそれ。まさか…あんなことくらいで、自殺でもしたっていうの?紗英が戸惑いに眉を顰めると、准がジリ…と一歩踏み出した。「答えろ。言えるのか?」「っ…」紗英は咄嗟に恐怖を感じて一歩下がる。とー。「キャッ!」「紗英!」下がったところがちょうど階段の縁で、彼女の身体がグラリと傾いた。匠が飛び出して彼女に駆け寄って来たが、紗英は慌てて自力で手摺を掴み、事なきを得た。その間、准はといえば、慌てるでもなく、ただ冷たく彼女の様を見ているだけだった。助けるつもりもない。いっそ、このまま落ちてしまえ…とでもいうように、手摺に掴まってホッと胸を撫で下ろしている彼女に向かって、ふん…と鼻を鳴らすことさえした。「あなた……」青ざめた顔で紗英が呟くと、准はつまらなそうに息をついた。「惜しかったな…」「!!」小さな声で残念そうに吐き捨てる彼に、紗英はゾッと血の気が引くのを感じた。正気なの…?彼女の唇が微かに震えるのに、准は僅かに口の端を上げて嗤った。「お願い……」許して…。懇願するように呟くと、彼は明らかにバカにした視線を向けてきた。「今更か?」「……」恐ろしかった。そしてー。紗英が恐怖に思考を手放したその頃になって、この祝賀会の主催者で真田エンターテインメント社長、そして准の叔父でもある真田英明がやって来た。「何事だ?」「あの…っ」「なんでもないよ」紗英の言葉に被せるようにして平然とそう言った准に、英明はチラリと階段に蹲る彼女を見て、そして言った。「ここではやめといてもらえるかな?」「!?」紗英はその言葉に愕然とした。助かったと思った瞬間に、そのまま地獄へ落とされた気分だった。だが准は、気に入らない…とでもいうような顔で口を開いた。「場所は選ばな

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   134

    「准さんっ」前をスタスタと歩く男に、紗英は必死でついて行った。今夜は、真田エンターテインメントに所属する俳優が主演した映画が海外で賞を獲ったということで、華々しい祝賀会が開かれていた。その俳優はこれを機に海外進出も視野に活動範囲を広げることになり、今日は顔繋ぎの目的もあって、各分野の大物や実力者も大勢招かれていた。関係事務所のスタッフやタレントなども招いて場を華やかに盛り上げていたおかげで、この祝賀会はきらびやかなものとなっていた。そんな中、紗英は事務所を代表するモデルの一人として、社長やマネージャーと共に参加をしていた。彼女は身体のラインを強調したドレスを身に着け、髪の毛を結い上げてその細いうなじを晒していた。首元にはキラキラと輝く宝石が散りばめられたネックレスが飾られ、彼女の魅力を更に引き立てているようだった。紗英はモデルらしく細身でありながら出るところは出て、引っ込むべきところは引っ込んだ、完璧ともいえるスタイルをしている。そんな彼女は会場に入った時から注目の的で、いろんな男たちから声をかけられていたが、誰一人として彼女の手を取ることに成功していなかった。それもそのはず、「あら、紗英じゃない?どうしたの、こんなところで。あなたの未来の旦那さま、あっちにいたわよ?」「……」彼女は今や、この界隈で〝あの真田准をおとした女〟として有名だったからだ。でも誰もが知っていた。それが単なる彼女の独りよがりで、実際はまったく相手にされていない…という事実を。わざとらしく〝未来の旦那さま〟と言ったモデル仲間は、自分の言葉に黙って睨みつけてくるだけの紗英をふふんっ…と嘲笑った。「私を睨みつけてる暇があったら、彼に弁解しに行ったら?」そう言って、周りにいた取り巻きの女たちと〝ごめんなさ〜い〟〝どうしてもあなたの妻になりたいの〜〟などとふざけた口調で腰をくねらせ、彼女をからかってきた。紗英は悔しさに歯噛みして、ダンッと足を踏み鳴らすとぷいっとその場を後にした。そして偶然見つけた准を追って来たところ、彼に氷のような視線を浴びせられ、その場に足を縫い付けられたのだった。「准さー」「桐谷家の躾はいったいどうなってるんだ?」呼びかけようとした言葉を遮られ、彼女は口を閉ざすも准は容赦なかった。「口を開けばデタラメばかり、仕事はいい加減、責任も取ら

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   133

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  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   132

    数週間後。「まだ見つからないのか!?」准は、手元の書類をバサッ!と投げ捨てた。本田はそれを見て静かにため息をつくと、黙ってしゃがみ込み、それらを拾って整えたのだった。「彼らの足取りはA国で途絶えています。そこから他国へ行った可能性もありますので、今は全ての搭乗者記録を確認中です。ですが、まだA国に滞在している可能性もありますのでー」「御託はいい。世界中、ひっくり返してでも捜せ!っ…」「社長ー!」顔を青ざめさせ、ふらついて机に手をついた准に駆け寄り、本田は言った。「あまり眠っていらっしゃらないのでは?根を詰めすぎるのはよくありません。少しでも横になってください」「うるさいっ…」准はこめかみを指で揉み、はぁ…と息を吐き出した。本田はそんな彼にお茶を淹れ、そっと目の前に差し出した。「ご両親も一緒にいらっしゃるんです。危険なことはないはずです。焦らず、じっくり捜しましょう」「……」そんな励ましは、准にとってなんの意味もないものだった。その頃ー。「メイ!」バタンッと勢いよく玄関ドアを開けて入って来たのは、近所に住む小さな女の子だった。「Hannah(ハナ)、どうしたの?」キッチンで尚と一緒にクッキーを作っていた芽衣は、目をパチクリさせて飛び込んで来た彼女を見た。ハナは今の家に来て初めてできた友達で、尚が言うには、普段この家の管理を任せている家族だということだった。お爺さんとお婆さん、お母さんとハナ。あとは、街の学校に行く為に家を出ているハナのお兄さん。お兄さんには会ったことがないからわからないが、皆優しい人たちだった。「あ!クッキーだ!」駆け寄って来たハナが嬉しそうにテーブルにしがみつくのに、尚は笑って「後で持って行くね」と言い、芽衣に手伝いはもういいから…と頷いた。芽衣はエプロンを外して汚れた手を洗い、ハナの前にしゃがんだ。「何か用事?」小首を傾げてそう問うと、彼女は「あ!」と思い出したように芽衣の手を取った。「お兄ちゃんが帰って来たの!メイ来て!」「え?でも…」「いいから!」小さな女の子にぐいぐいと手を引かれ、芽衣は困ったように母親を見た。尚はその様子に楽しそうに微笑い、「行っておいで」と彼女を促した。ハナと芽衣が揃って出て行く姿を見送りながら、尚は思い出していた。前世、彼女は親友の美月の遺骨を持って

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   131

    その日、准は戸部から一方的な報告を受けた。〝真田芽衣の投薬治療は終了した。残りの服薬治療に関しては、本人と家族の希望により、他所で行うことを決定した。〟というものだった。「それは、どういうことですか?」意味がわからずそう尋ねた准に、だが戸部は同じ事を繰り返し言っただけだった。准は苛立たしげに更に問うた。「では、どこで服薬治療を行うのか、教えてください」『それに関してはー』本人の希望により、あなたには教えられません。そう言われた。ショックだった。これまでただの一度も、芽衣は自分に内緒で何かをするなんてことはなかった。例えば誕生日のサプライズでさえ、彼女は我慢できずに「お誕生日、楽しみだね〜」などと匂わせていたのだ。それが…。准は初めて彼女に拒否された感覚に、胸が締めつけられるようだった。芽衣…。自分は、彼女の信頼を失ったのか…?呆然としていていつの間にか切れていた通話に、准はスマホを投げだし大きく息をついた。戸部の口調から、彼女たちが既に研究施設を出ていることが察せられた。どこだ?どこに行った?考えられるのは怜士のところか、各地に点在する別荘のどこかにいるのでは…。そう思い、准は急いで怜士に連絡を取った。だが、彼は「来ていない」と言った。それが本当なのかどうかすら、わからない。他にも各地の別荘やホテルを捜させた。が、どこを捜しても見つけられなかった。准は気が狂いそうに焦った。十中八九そうだと思った場所にいなかったことが、彼の思考を混乱させていた。ダンッ!!苛立ちをぶつけるように拳を叩きつけて、准は更に思考を巡らせた。*「わぁ〜、綺麗だね〜」芽衣のはしゃいだ声に、尚はホッと息をついた。A国。ここは前世、尚が聖人と共に過ごし、生涯を終えた場所だ。怜士も知らない田舎町にあって、景色の良い小さな家だった。使用人もいない。完全に、家族3人だけの空間だ。「不便だと思う?」隣に立つ夫に訊くと、彼はニコッと笑って否定した。尚は元々自分だけで生活をしていた。使用人を使うような生活は、聖人と結婚してから得たものだ。だから家事などにも困らない。彼女は久しぶりの感覚に、実は少し開放感も感じていた。この家は、作家の仕事で稼ぐようになってすぐに手に入れていた。思い出の場所であり、心が安らぐ場所だったからだ。今回、准には

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    わかっている。彼は、こんな答えを聞きたいんじゃない。でもー。匠には答えるべき回答がなかった。「調べます……お時間を、いただけませんか…?」「…いえ、結構です。今までに関わった全ての人物を出してください。後は、こちらで調べます」「……」准は暗に、こちらサイドの人間は信じられない…と言ったのだ。「わかりました…。あの…こういったものは、これだけですか…?」「どう思います?」「……」その冷たい視線と口調、そしてバカにしたように薄っすらと嗤う口元に、匠はゾッとした。終わった…。ほんの少しの希望も打ち砕かれた気分だった。なんてことをしてしまったんだ…!依頼主の信頼をぶち壊すような真似をしてくれた妹に、匠はグッと奥歯を噛み締めた。*准は匠を送らせた後、そのまま他の映像にも目を通していた。小高い丘の上にある、小さな古い教会。周りの景色と相まって、そこはまるで物語の中に出てくるような雰囲気を持っていた。芽衣の好きそうな場所だった。彼は、匠に撮影を依頼した際、一つのコンセプトを呈していた。それは、正しく〝芽衣と准が見ている〟体で映すというものだ。そして、彼女が健康を取り戻したらすぐにでも結婚式の準備を進めたいと思っていることから、芽衣に〝結婚式〟を現実に意識させるような映像を撮ることも依頼していた。最初のコンテでは教会の入り口を通り、バージンロードを歩き、そしてそのまま美しいステンドグラスを見上げるように映像をパーンして外へ向かい、青空から花びらが舞う教会の外へ歩み出たような映像へと移る。そんな感じだったはずだ。だが今、目の前に映し出された映像には、余計なものが足されていた。それは、いつの間に撮影をしたのか、ウェディングドレスを着た紗英の姿と、ブーケトスをしているような姿だった。花婿役は顔が映っていない為誰なのか分からないが、2人は仲睦まじげにしっかりと腕を組み、紗英は美しく微笑んでいた。准は怒りにぎゅっと拳を握りしめ、額には血管が浮き出るほどだった。「本田」低く抑えた声で呼ぶと、後ろに控えていた彼はすぐさま応えた。「お任せください」そう言うと、本田は部屋を出てスマホを手に歩き出したのだった。その頃、研究施設内ではー。「彼らしくないミスね」尚の言葉に、聖人も頷いた。彼らは日に日に芽衣の元気がなくなり、とうとう「病気なん

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    *笑が真田家を後にしたのを見送って、福は准に頭を下げた。「ありがとうございます」「……」チラリと福に目を向けた准は、素っ気なく口を開いた。「別に。芽衣に直接謝りに来たのは彼女だけだったし。…そこは、評価してもいい」「…はい」2人は応接室から書斎に移り、准の前に立った福が改めて礼を言うと、しかし彼は冷たい声でそれを遮った。「礼などいらない。芽衣は許したかもしれないが、俺にはそんなつもりはないからな。ただー」お前が妹を助けてやることは目を瞑ってやる。それだけ言うと、准は途中になっていた書類を手に取って仕事に戻った。「ありがとうございます」福はそれに安心したかのような顔で、

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    数日後ー。「お兄ちゃん…私、許してもらえるかな…?」不安そうに呟く笑に、福は言った。「この件に関して、俺に口を挟む権限はない」「……」その冷たい態度に笑の目にはじわりと涙が滲んできたが、ぐっと我慢した。今日のこの場を設けてくれただけ、感謝をしなければならないのだから。久しぶりの兄妹水入らずだというのにシーンと静まり返った重い空気が漂う中、やがて微かに足音が聞こえてきて、笑の緊張も高まった。そしてー「笑ちゃっ」「!?」驚いた。現れた芽衣が笑顔だったからだ。彼女は以前も痩せていたが、今は病気をしたからかそれ以上に痩せてしまっていて、ぶつかったりしただけで折れてしまいそうだっ

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    3年生の終わり、相変わらず仲良くしていた華子が慌てたように教室に駆け込んで来て、周りをキョロキョロと警戒した後、コソッと麻沙美に耳打ちした。「真田くん、卒業するんだってっ」「え…!?」麻沙美は信じられないことを聞いたというように少し身を引き、マジマジと華子の顔を見た。「どういうこと?」真剣な顔で尋ねる麻沙美に、華子も真面目な顔で口を開いた。「真田くん、この前の試験、進級試験じゃなくて卒業試験受けたって」「伯父さんが言ってたの?」そう訊くと、華子は大きく頷いた。そして麻沙美は、それを見て呆然とした。嘘でしょ?卒業なんて…。確かに彼なら試験にも受かるだろうけど、そんな…。あと

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   6

    【発表会】当日。麻沙美は1年生の控室で、自分の出番を待っていた。4年生は後半に組まれている為、残りの5人は前半で、くじ引きで順番が決まっていた。麻沙美は3番目で、准は4番目だった。控室は学年毎だったので、ここには彼女たちとそれぞれ準備などを手伝う人がいるだけだった。が、准に限って言えば、手伝いはクラスメイトの中からではなく、自分の秘書にさせていた。ついでにボディーガードも2人ずつ、部屋の中と外に配置されている。「うーん…別世界ね」そう呟く華子に、麻沙美も苦笑して頷いた。彼女の家も名門と言われる家柄だったが、学校の中でまで家の者を使ったりはしないし、使えない。これはおそらく、彼の

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