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◇カフェでモーニングしない? 124

Author: 設樂理沙
last update Last Updated: 2025-05-10 15:26:52

124

先週相原さんから請われて約束しちゃった私の家のルームツアー、

どうしようかなっ。

 遠野さんの顔がチラついて積極的な気持ちになれないのよねぇ~。

 今すぐというのではなくても、気持ちが切り替わって招待しようって

なった時のために休日は整理整頓を心がけよう。

 昔からストレスのある時ほどどういうわけか部屋の片づけが進むので、

ちょうどいいじゃない? と、遠野さんのことも前向きに捉え、

土曜は半日を片付けに割いて過ごした。

入浴を済ませてあとはまったりとYouTubeでも視てから

寝ようかと思っていたところ、相原さんからメールが入った。

 『明日、この間行ったカフェでモーニングしない?

 ちなみにその時間、凜は姉に預けて行くつもり。

 分厚いトーストとこんがり焼いたベーコン乗っけたオムレツが

最高なんだ。

 季節のフルーツも付いてるから今だとりんごか柿なんかじゃないかな』

『わぁ、どれも魅力的で……行きたぁ~い~。

 何時頃行けばいいですか?』

『できれば9時か9時30分頃、どうかな』

『9時~9時15分の間に行きます』

『オッケー、じゃあ9時頃席とっとくよ。注文もしておこうか?

 それとも来てからのほうがい~い?』

『一緒に注文お願いします』

『オッケー。じゃぁ、明日。おやすみ』

『おやすみなさい』

 やったー、ついモーニングにつられて迷うことなく即答してしまう。

- 明日相原さんと楽しいおしゃべりを交わしながら美味しいモーニングが

食べられるのだと思うと幸せ過ぎて、この夜私の頭からは遠野さんに対する

憂鬱はすっかりと消えてしまった。-

 なんてこったい。

 先ほどまで遠野さんのことを憂いていたのは誰だっ!

 ……なんてね。

 そうだ、明日遅刻はできない、早く寝よっ寝よっ!
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  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇ストーカー行為を全力で 阻止 125

    125     花がそのような楽しい週末を相原と過ごした後、またまた1週間が経ち、 夜間保育の金曜を迎えることになり、また遠野の突撃があるのではないかと 怯えていたが…… それもなく、金曜の夜間保育はいつものように穏やかに過ぎていった。 ただ油断はできず、残念ではあるが、花はこの日も相原の車に 便乗させてもらうことを見送った。          ◇ ◇ ◇ ◇ ◇顛末    先週に引き続き掛居をモーニングに誘いたかった相原だがこの日は 沙江子が凛に会いに来るというので誘えなかった。 沙江子の寂しさを慮るとモーニングを優先させることはできなかったのだ。 そんなことを少しグジグシ考えながら休日の朝、相原がベランダに出て 洗濯物を干している時のことだった。  相原の家のインターホンが鳴った。  来客のようだ。「どちらさまでしょうか」 インターホンを鳴らした訪問者は予想外に女性の声で出迎えられ 驚きを隠せなかった。 しかしもうここまで出向いて来たのだ、諦めて帰るわけにはいかない、 そう思い自己紹介を始める。 「相原さんと同じ会社の遠野と申します。  相原さんにお会いしたくて参りました。  少しだけでいいので-お時間いただけないでしょうか」 そう声掛けした遠野が待っていると、中から出てきたのは見知らぬ 女性《沙江子》だった。 この時ちょうどベランダにいた相原が洗濯カゴを手に部屋に入ってきた ところだった。  目の前に現れた光景はちょうど沙江子と遠野が対面している絵面だった。 相原は驚いたものの、瞬時に閃いた。 このチャンスを最大限に活かし、遠野のストーカー行為を全力で 阻止しなければ、と。

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇カフェでモーニングしない? 124

    124 先週相原さんから請われて約束しちゃった私の家のルームツアー、 どうしようかなっ。 遠野さんの顔がチラついて積極的な気持ちになれないのよねぇ~。 今すぐというのではなくても、気持ちが切り替わって招待しようって なった時のために休日は整理整頓を心がけよう。  昔からストレスのある時ほどどういうわけか部屋の片づけが進むので、 ちょうどいいじゃない? と、遠野さんのことも前向きに捉え、 土曜は半日を片付けに割いて過ごした。入浴を済ませてあとはまったりとYouTubeでも視てから 寝ようかと思っていたところ、相原さんからメールが入った。 『明日、この間行ったカフェでモーニングしない?   ちなみにその時間、凜は姉に預けて行くつもり。  分厚いトーストとこんがり焼いたベーコン乗っけたオムレツが 最高なんだ。    季節のフルーツも付いてるから今だとりんごか柿なんかじゃないかな』『わぁ、どれも魅力的で……行きたぁ~い~。  何時頃行けばいいですか?』『できれば9時か9時30分頃、どうかな』『9時~9時15分の間に行きます』『オッケー、じゃあ9時頃席とっとくよ。注文もしておこうか?   それとも来てからのほうがい~い?』『一緒に注文お願いします』『オッケー。じゃぁ、明日。おやすみ』『おやすみなさい』 やったー、ついモーニングにつられて迷うことなく即答してしまう。- 明日相原さんと楽しいおしゃべりを交わしながら美味しいモーニングが 食べられるのだと思うと幸せ過ぎて、この夜私の頭からは遠野さんに対する 憂鬱はすっかりと消えてしまった。- なんてこったい。  先ほどまで遠野さんのことを憂いていたのは誰だっ!   ……なんてね。 そうだ、明日遅刻はできない、早く寝よっ寝よっ!

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇ストーカーにだけはならないでくれ 123

    123    なんか、どっと疲れを感じた。 遠野さんったら、やってくれたわねぇ~。 自分の恋愛ごとに周囲の人間を、それもいきなり巻き込むなんて 由々しきことだわ。 それにしても、遠野さんの片思い、恋心を相原さんに話すというのも 何か違うと思うのでここは静観するしかないのかなぁ。 遠野さんの積極的と言えば聞こえはいいけれど、強引なところを 見せつけられ、つい島本玲子のことを思い出してしまう。 自分の想いを成就させるためには手段を選ばず、人のことは お構いなし……か。 嫌な記憶だ。           ◇ ◇ ◇ ◇  一方相原は今日の掛居を送るという口実の元、送迎デートを楽しみに していたのだが。 どうやら遠野が原因で一緒に帰るのはまずかったらしい。  残念に思いながら相原が車を発進しかけた時だった。「コンコン……」 誰かが車窓をノックするのが聞こえた。 掛居かと思いきや、見上げると現れたのは遠野の顔だった。 掛居かと思い、少し胸の内側から芽生えた喜び……がスルスルっと 萎《しぼ》んでいった。 掛居が一緒に帰れないと話していた理由らしき人物が目の前に現れ、 相原は不愉快でならなかった。 いっそこのまま、無視してアクセルを踏もうかと思うほどに。 しかし、同じ会社の人間相手にそれは流石にできず窓を開けた。「こんばんは」「何か?」「え~っと、子守が必要な時は私に連絡いただけたらすぐに飛んでいきます ので、困った時はいつでも連絡ください。それだけお伝えしたくて」 そう言って遠野は俺にメルアドを記したメモ用紙を車の窓越しに 渡してきた。 「じゃあ、失礼しました。お気をつけて」「あぁ、ありがとう。それじゃ」 俺は一言返事を返すと、脱兎のごとくその場から車を走らせた。  掛居さんの懸念は当たったってわけだ。 おそらく今夜遠野さんが保育所にいたことも、そういうことだったのだ。 過去の経験から相原には分かっていた。 ああいう手合いはややこしい。『ストーカーにだけはならないでくれ』 と相原は祈るばかりだった。

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇一緒に帰れない 122

    122「ちょっと疲れてたからしばらくの間掛居さんにお願いして休憩してたのよ。いらっしゃい、遠野さん。 この間はご希望に添えなくて申し訳なかったわね」「いいえ、気にしないでください。 社内規定なら仕方ないです。 今日は私も掛居さんと同じように凛ちゃんパパに『お疲れさまです』って声掛けさせていただいてもいいですか?」「3人もの美女から声掛けされて凛ちゃんパパも少しは疲れが取れるかしらね」 芦田さんが当たり障りのない対応をしていると、ちょうど注目の的……相原さんが登場。 すると、私が抱いていた凛ちゃんを芦田さんに渡そうとしたのを遠野さんが急に横から強引にもぎ取り、驚いている芦田さんと私をよそに、まるで今日の保育を担当していたかのように振舞うのだった。「お疲れさまです。凛ちゃん、今日もいい子でしたよー」 そう言うと自ら凛ちゃんを相原さんに渡した。 驚いたものの、芦田さんと私も声を揃えて凛ちゃんパパに『お疲れさまでした』と労いの言葉を掛け見送った。 彼が部屋から出て行くと遠野さんは「勝手なことをしてしまい、すみません。次からはもうしませんので」と芦田さんに告げ、私には何も言わず帰ってしまった。「呆れた。さてと、掛居さんもお疲れさま。 また来週もお願いします」「はい。芦田さんもお疲れさまでした。お先に失礼します」 社屋の出口に向かって歩いているとスマホが鳴った。 相原さんからのメールだ。「今日も送るので駐車場で待ってる」と言ってくれている。「もしかすると遠野さんが見張っているかもしれないので、今日は電車で帰ることにします。折角なのにごめんなさい」 私は社屋《自社ビル》を出たところで返信を返した。「分かった。また連絡するよ、お疲れさま」「はい、気をつけて帰ってくださいね」

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇押しまくりの遠野 121

    121     週明け出勤後、何となく私は遠野さんのことが気になってしようがなかった。 芦田さんに直談判に行ったという遠野さんだったが、その後ニ度ほど一緒に昼食を摂った時も小暮さんがいたせいかもしれないけど相原さんや芦田さんの名前が出ることはなかった。 彼女は唯一のとっかかりを失くしてアプローチを諦めたのだろうか。 そんなふうな思いを抱いて1週間……。 また金曜の夜間保育の日がやってきた。 別段相原さんから緊急連絡は入ってないので今日も彼は20時頃凛ちゃんを迎えに来るだろうと予想し、私は19:40頃になるとなるべく早く帰れるように凛ちゃんの様子を見ながら周囲を見回して片付けを始めた。「掛居さん!」 声のする方を振り向くと作り笑いを顔に貼り付けた遠野さんの姿があった。『えっ!』 私は言葉が出なかった。「私、夜間保育は仕事としては入れなかったの。 それで一度は諦めたんだけど、よく考えてみたら相原さんにアピールするのが目的なんだから保育要員じゃなくてもいいんじゃないかって気付いたんです。 掛居さんとは同じ職場で働く者同士、知り合いなのだし……。 だから掛居さんの様子伺いに来ました」 だから? 私は彼女の意図するところがよく分からなかった。 私の様子伺い? だけど、もう少しで残業も終わるっていう今頃になって? 『ハッ!』そういうことか。 相原さんのお迎えの時間に合わせて来たっていうことなのね。 すごいぃ~、遠野さんって真正の肉食系女子だったんだ。「様子伺い……って、あともう少しで業務も終わりよ」「相原さん、20時には来ますよね?」「たぶん……ね」「私も掛居さんと一緒に見送りしたいなぁ~」「いいけど、大抵私はほとんど話すことはなくて、芦田さんの横に立って『お疲れさまでした』って言うだけなの」 私がそう言うと遠野さんは部屋の中をぐるりと見渡して探った。「でも、今日は芦田さん、いないみたいだけど」 遠野さんが私にそう言うやいなや、いつの間にか芦田さんが起きていたようでタイミングよく、私の代わりに遠野さんへの返事をしてくれた。

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇アッシーを失くしそう 120

    120     「いえ、別に私はそういうのは……」「ええ、ええ。分かってます。 私の勝手な言い草だと思ってスルーしてね。 あぁ、面白がったりしているわけではないことだけは分かってね。 ただの私の勝手な想いなの。 もう恋愛なんてっていう難しいお年頃になっちゃったので、自分を可愛らしい掛居さんに置き換えて妄想して楽しんでるだけ。 私じゃあ相原さんのお相手には絶対なれないから、ふふっ」「可愛らしいだなんて……ありがとうございます、ふふっ。 じゃあこれからかわゆい凛ちゃんの子守、代わりますね」 芦田さんが奥でゆっくりしている間、私は凛ちゃんに読み聞かせをしたり、積み木をしたりして凛ちゃんパパを待っていた。 凛ちゃんが待ちくたびれて私の膝にチントンシャンと座り指吸いを始めた頃、待ち人《相原さん》からメールが入った。『帰りに送るので駐車場まで来て。 車種はトヨタのプリウスで色はホワイト。 一緒は掛居さんのほうがまずいだろ?  俺と凛は先に乗って待ってるから。 え~と車は2列目の左から5番目だから』 すごいモテてる相原さんから送ってあげるよとのオファーがあり、芦田さんや遠野さんの顔がチラチラ浮かんでちょっとビビった。 先に乗って待ってるってすごいなぁ~。 こういうふうに気遣いのできる人なんだ。          ◇ ◇ ◇ ◇ 保育所までお迎えに来た相原さんに、少し前に奥のスペースから起きてきていた芦田さんが声掛けをして凛ちゃんを手渡し、芦田さんと私から『お疲れ様でした』の声を掛けられ、相原さんはいつものように部屋をあとにした。 すぐあとを追うことになっている私は気持ち、ギクシャク感半端なかったけれど、その辺を片付けるとすぐに自分も芦田さんに挨拶をして部屋を出た。……ということで、凛ちゃんが寝ている側で他愛のない話をして私たちは一緒に帰った。 車で帰れるなんて、それも人様に運転してもらって、タクシーでいうならお客様状態。 楽チン過ぎて電車通勤が嫌になりそ。『あーっ、やっぱり遠野さんの話、聞きたくなかったなー。 遠野さんお願いだから私を恋愛事に巻き込まないでよねー』 私はその夜寝る前にお祈りをした。 でもあれよね、遠野さんに狙われてもしも相原さんが陥落するようなことにでもなれば、もう今日のように車で送

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇遠野の強引な片思い 119

    119  「こんばんは」「あぁ、掛居さん、ちゃんと来てくれて良かったわ」「……」 「いやぁあのね、週初めに遠野さんから掛居さんに代わって夜間保育を やらせてほしいってお願いされてたのね。  それで何気にまたなんでそういう気持ちになったのか訊いてみたの。 そしたら夜間保育には必ず相原さんのお子さんがいるっていうことを 掛居さんから聞いたのでって彼女が言ったの。 その時は私も全然遠野さんの意図が読めなくて何も考えず 『凛ちゃんのファンなの?』って訊いたの。 後々考えてみたらピンとこない私もアレなんだけど 『いえ、いや、そうなんです。凛ちゃんも可愛いし、でも私は 凛ちゃんのお父さんとも親しくなれたらと思っています』 って遠野さんに言われちゃって。 気が回らないというか、私としたことか迂闊だったわぁ~。 掛居さんは一連の遠野さんの言動っていうか、ふるまいというか、気持ち知ってたのかしら?」 「はい、一応。夜間保育したくて立候補するけどいいか、ということは 話してもらってました。 でもその後の結果というか報告は聞いてなかったので 今日いつものようにこちらへ来ました。 あの……遠野さんの要望はどうなったのでしょうか?」 「私ね、遠野さんから話を聞いて、ここは彼女のために応援するべきかどうか 悩んだのだけど、なんかねぇ、彼女のことをよく知らないっていうのも あって応援する気になれなかったの。 それでお断りしたわ。 私は掛居さんのガツガツしていないところが好き。  相原くんのお相手が掛居さんだったなら応援する」  きゃあ~、芦田さんったら何を言い出すんですかぁ~、私は反応に困った。

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇過去の悲しい恋 118

    118 遠野さんだったら私のように匠吾や島本玲子から逃げ出したりせず、各々と向き合い対決して怒りをぶつけたり、折り合いをつけたりと、自分でちゃんと決着つけられるのかもしれない、とふとそんなことを思った。 当時の私は無防備で、相手に依存し安心しきっていた上に完璧を求め過ぎ、そして何より弱すぎた。 ある日突然終わってしまった私の悲しい恋と恋心。 あの日から私の時間は止まってしまった。 私はちゃんと生きているのかな? 時々戸惑いを覚える。 あんなに好きだった人《匠吾》にあの日から会いたいと思ったことは一度もない。 遠野からの意外な告白を聞いた日からちょうど1週間が過ぎ、夜間保育の金曜になったけれど芦田から遠野の話は出ていないし、また遠野本人から夜間保育の担当になれたという報告も受けていない。 わざわざ自分から遠野に訊くのも違うような気がして、花はいつものように自分の担当部署の仕事を片付けると夜間保育の仕事場へと向かった。  ◇ ◇ ◇ ◇ 遠野はというと、花に夜間保育の件を話した後週明けすぐに芦田に直談判していた。 芦田からは、派遣社員は雇用形態がこちらの社員とは違うので副業で夜間だけ働いてもらうことは難しいとバッサリ断られていたのだった。 それは確かに芦田が断る1つの理由でもあったのだが、実はもうひとつの理由があった。 遠野の言動から夜間保育を志望する理由というのが、凛をはじめ、子どもたちのことを可愛く思ってのことではなく凛の父親狙いというのが透けて見えたためだった。         

  • 『特別なひと』― ダーリン❦ダーリン ―❦   ◇相原さん、狙われてますー 117

    117    遠野さんの分かってます発言はほんとに分かっていての発言なのか、 非常に怪しい。 最後の含み笑いは私を困惑させるのに十分な威力を備えていた。 周囲には隠して付き合っている、というストーリーが彼女の頭の中で 展開されている節がある。 何故なら相原さんと付き合っているのか、という問いかけはなかったからだ。  まぁあれだ、彼女は小説を書く人だから、一般人よりは妄想たくましい 可能性はあるよね。 相原さんとデートしたことなんて絶対知られないようにしなきゃ、だわ。  何気にこういうの疲れるぅ~。「掛居さん、私、夜間保育をして少しずつ相原さんとお近づきに なりたいんです。 それで芦田さんに夜間保育をやりたいってお願いしてみようかと 思ってるんですけど、立候補したら迷惑でしょうか……迷惑になります?  ご迷惑ならこの方法は止めなきゃ駄目ですよね」 私は先ほどから遠野さんの言動に驚かされてばかりなんだけど、 今の話を聞いて更に『目玉ドコー』な感覚に陥った。 なんて言うんだろう、彼女のお伺いって控えめさを装った強引な お願いにしか聞こえなくて、少し嫌な感じがする。 元々こういうキャラの女性《ひと》だったのか、はたまた片思いが 高じた所以のものなのか。 よく考えてみたら私が持っていた遠野さんのイメージなんてたまに 社食で昼食を一緒に摂るだけの間柄で何を知っているというのだ。 恋する乙女は貪欲で猪突猛進で私は恋する乙女? の力強さにある意味 感服するところもあるけれど、自分に置き換えてみるに、とてもそんなふう な形での力強さは一生掛かっても持てそうにないや。

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