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◇血の繋がりのない孫 21

Author: 設樂理沙
last update Huling Na-update: 2025-03-12 08:20:27
21

「あなたが生まれてすぐにあなたの父親一樹さんが浮気をしてしまい

『本気じゃないから許してほしい』って土下座して懇願されたけど

私はガンとして許さなかった。

 その後しばらくして大学の同級生だった洋輔さんと結婚したのよ。

 その時ね、おじいさまが『浮気するような男の子供を連れた女など

向阪家の嫁にはできぬ』とおっしゃってね、それはもう大層ご立腹だったわ。

 でもね、洋輔さんが一歩も引かなくて、『承諾は無くても結婚します』と

言ってくれて素敵だったのよ」

『こんな時に惚気るなんてお母さま、頼みますよ~』

「で、その俺の本当の父親やらとはその後どうなったの?」

「私が再婚するとすぐに後を追うように浮気相手だった女性と結婚したの。

 だけど結婚した後その女性がホストに嵌り、借金が嵩み泡嬢に落ちて

いったらしいわ。詳しいことは分からないけどたぶんその女性とは離婚

したんじゃないのかな」

「なんか、悲惨~カッコ悪い末路だな」

          ◇ ◇ ◇ ◇

 沙代の元夫一樹が致した浮気はほんの出来心で、沙代と元の鞘に戻りたく

散々沙代に謝罪したのだが、沙代の心を取り戻すことはできず……

そうこうしているうちに学生時代からの友人である洋輔と沙代が

さっさと再婚してしまい、何を血迷ったのか一樹は結婚など微塵も考えて

いなかった浮気相手の荻島和子と自分も沙代と張り合うように再婚をした。

 だが和子と暮らす日々に平穏な生活など一日たりともなかった。

 和子という女はトキメキがないと生きていけない属性の人間で

結婚後すぐにホストにド嵌り。

 借金を作りお定まりの風俗嬢におちていった。

 沙代に振られてからというものどうでもいいような生き方をしていた一樹も

流石にあきれ果てたのか振り回されてばかりだった和子と縁を切るのだった。

 その後も何人かの女性と縁はあったものの、沙代に向けていた同じ熱量で

愛せる女性に巡り合うことはなく、残りの長い人生を共に生きていきたいと

思えるような女性には出会えず、50代の今になっても独りの生活、おひとり

さまで生きている。
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