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chapter41

Author: 水沼早紀
last update Last Updated: 2025-07-01 18:33:37

 自分に自信を持つか……。そうだよね。

「……うん」

「課長がいくらカッコよくてモテるからって、アンタが彼女である事実は変わらないじゃない。 私はお似合いだと思うけどな、アンタと課長」

「……ありがとう」

 沙織は「いいわよ、お礼なんて別に」と烏龍茶を一気に飲み干した。

「ほら、アンタも飲みな」

 沙織は烏龍茶を指差す。

「……ありがとう」

 それもきっと、沙織なりの優しさなのかな。 沙織は私をずっと見てきたからこそ、私の気持ちを理解してくれているのかも。

「ねえ、沙織……?」

 ただ一つ疑問がある。

「ん?」

 そこで私は、沙織に「沙織もさ、もしかしてなんかあった?」と問いかける。

「……なんで?」

「なんか寂しそうな顔、してるから」

「え?そう……?」

 沙織の顔を見てると、なんだか沙織の顔が寂しそうに見える。

 彼氏と別れたと言っていたけど、それが何か関係あるのかな?

「何? 良かったらさ、私に話してよ。話なら聞くよ?」

「……航太(こうた)のこと、なんだけどさ」

「うん、どうしたの?」

 沙織はおかわりの烏龍茶に再び手を伸ばし、「航太のこと……実はまだ好きなんだよね」と私に言った。

「え、そうなの?……でも沙織は、村木さんのことが好きなんじゃないの?」

 あれ? 私の思い違いだった……?

「違う。村木さんのことは、ちょっと気になるってだけよ」

 もしかして沙織は、航太くんのことを何か気にしてるの?

 別れた理由はすれ違いって聞いてたんだけど……本当は違うの?

「そっか。気になるってだけなのね」

「そうよ」

 そっか。村木さんのこと好きなのかと思ってたけど、沙織はまだ航太くんのことが好きなんだね。

 でも別れなくちゃイケない理由が出来たから、別れたんだ。

「……どうすれば、いいかなって思って」

「ん?」

「航太のこと……どうしたらいいかなって」

 沙織の顔が本当に寂しそうで、私も沙織に何かしてあげたいと思うけど、何をしてあげられるか分からない。

 出来るのはただ、こうやって話を聞くことだけ。

「沙織は、どうしたいの?」

「どうなの……かな。分からない」

 沙織はかなり、航太くんのことで悩んでいるのかもしれない。

「ごめん、こんな話。……ちょっと色々あって、ストレス溜まってるのかも」

 二杯目の烏龍茶を飲み干した沙織は、深くため息を吐く。

 こんな弱
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