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第2話

Auteur: 七々
病院で一週間過ごした後、夕子はようやく退院した。

景祐は迎えに来ると約束していたが、急な用事が入り、代わりにドライバーを手配してくれた。

夕子は何も言わず車に乗り込み、スマホを取り出してインスタを開くと、ちょうど遥の最新投稿が表示されていた。

【西京郊外の温泉は本当に最高!浸かったら身体の痕跡が全部消えた!これで誰かには絶対バレないね~】

写真はビキニ姿の自撮りで、横に男性の腕が写り込んでいた。

夕子はすぐにそれが景祐の腕だとわかり、彼の言う「急用」の事実も理解した。

彼女はその投稿に「いいね」を押した。

景祐が家に戻ったのは夜の10時を過ぎていた。ドアを開けると、すぐに夕子に抱きついて詫びた。

「夕子、すまない。今日は仕事が忙しくて、迎えに行けなかった」

夕子はさりげなく彼の動作をかわした。

「大丈夫よ、仕事の方が大事だから」

夕子の平静な様子を見て、景祐はほっとしたように、再び優しく言った。

「まだ夕食食べてないだろう?お前の好きなインド料理をアシスタントに先に買ってもらってるから、少しだけ食べておいて。

夜、風呂に入る時は傷口が水に濡れないように防水バンドを貼ってあげる。

それと寝る時も気をつけて、傷を悪化させないように」

夕子は彼の心配する言葉を聞きながら、胸が張り裂けそうな思いだった。

「……うん」

不思議なものだ。見た目は何も変わっていないのに、全てが変わってしまったような気がする。

目の前の人はまだここにいるのに、かつての愛情はもうどこにも見えない。

景祐が立ち上がって浴室に向かった。夕子は再び思いに沈んだ。

ちょうどその時、携帯が鳴った。ラインを見ると、遥からのメッセージが届いている。

【昨夜、私たち4回もやったわ。最高だった】

【彼、最後にあなたとやったのはいつだっけ?なんでだか、気にならないの?】

【答えが知りたかったら、彼の服のポケットを覗いてみなよ。きっと驚くわ】

既読された途端、遥はすべてのメッセージを取り消した。

隠せば隠す程、かえって目立つ。

夕子は、遥がわざと自分に嫌がらせしようとしていると分かっているが、それでも景祐が脱ぎ捨てた上着に手を伸ばさずにはいられなかった。

ポケットの中にはTバックが入っている。

レースの蝶リボンがついた、セクシーで露骨な下着だ。

夕子が呆然としていると、景祐が浴室から出てきて、Tバックを奪い取ると、慌てた口調で言った。

「絶対に達也(たつや)たちの悪戯だ!夕子、誤解しないでくれ、俺は……俺は……」

夕子は彼の言い訳を聞いているうちに突然強い吐き気に襲われ、洗面所に駆け込むと、嘔吐を繰り返し、胆汁まで吐き出しそうになった。すぐそばにいた景祐は慌てて水を差し出し、彼女を抱き寄せて背中をさすった。

しばらくして、景祐がふと口を開いた。

「夕子、まさか妊娠してるのか?」

その言葉に夕子は一瞬硬直した。すぐに青白い顔を上げて作り笑いを浮かべた。

「景祐、最後に私に触ったのがいつだったか、覚えてる?」

「私一人で、どうやって妊娠できるっていうの?」
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