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第12話

作者: 山椒さかな
琉生は顔を上げた。その瞳には、隠しきれない衝撃が浮かんでいた。

そして、私の視線を受けながら、彼はゆっくりと、それまで真っ直ぐだった背中を折り曲げていく。

何も言わなかった。私を見上げる勇気さえ失ったように、ただ黙って頭をさらに深く垂れる。

沈黙が辺りを包み込む。時間だけが、果てしなく長く引き延ばされていくようだった。

どれほど経っただろう。

琉生は震える手を伸ばし、テーブルの上に置かれたUSBメモリを手に取った。

最後まで彼は何も言わなかった。

けれど私は、それが彼の答えなのだと理解した。

私は何も言わず、その場を後にした。

だから気づかなかった。跪いたままの彼が、一度上げた手を、力なく下ろしたことに。

その日を境に、琉生が私の前に現れることは二度となかった。

私の日常は、ようやく穏やかさを取り戻していく。

私の決意が揺るがないと知った斗真も、その事実を受け入れた。気持ちに整理をつけた彼は、もう一度私の前に現れた。

けれど、その瞳に込められていた数え切れないほどの想いは、最後にはたった一言へと変わる。

「どうか、お元気で。

君が出発する日は、ちょうど出張
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    琉生は顔を上げた。その瞳には、隠しきれない衝撃が浮かんでいた。そして、私の視線を受けながら、彼はゆっくりと、それまで真っ直ぐだった背中を折り曲げていく。何も言わなかった。私を見上げる勇気さえ失ったように、ただ黙って頭をさらに深く垂れる。沈黙が辺りを包み込む。時間だけが、果てしなく長く引き延ばされていくようだった。どれほど経っただろう。琉生は震える手を伸ばし、テーブルの上に置かれたUSBメモリを手に取った。最後まで彼は何も言わなかった。けれど私は、それが彼の答えなのだと理解した。私は何も言わず、その場を後にした。だから気づかなかった。跪いたままの彼が、一度上げた手を、力なく下ろしたことに。その日を境に、琉生が私の前に現れることは二度となかった。私の日常は、ようやく穏やかさを取り戻していく。私の決意が揺るがないと知った斗真も、その事実を受け入れた。気持ちに整理をつけた彼は、もう一度私の前に現れた。けれど、その瞳に込められていた数え切れないほどの想いは、最後にはたった一言へと変わる。「どうか、お元気で。君が出発する日は、ちょうど出張と重なってしまった。見送りに行けなくて、ごめん」私は首を横に振った。「気にしないでください。一人でも大丈夫です。今まで、本当にありがとうございました」斗真はそれ以上何も言わなかった。どこか寂しげな背中を残し、その場を去っていく。そして、あっという間に出発の日がやって来た。その少し前から、私は何度も祖母の夢を見るようになっていた。祖母は私を責めることは一度もなかった。いつものように優しく微笑みながら、私を見つめてくれる。「うちの清芽ちゃんも、もう立派な大人になったね。もっと高く、もっと遠くへ羽ばたいていけるようになって、おばあちゃんは本当に嬉しいよ。おばあちゃんは、清芽ちゃんを責めたりなんかしない。ただね、うちの清芽ちゃんがたくさん辛い思いをしてきたことが、胸が痛くて仕方ないんだよ。でも、大丈夫。これから先、清芽ちゃんの人生はきっとどんどん幸せになっていく。おばあちゃんも天国から、ずっと清芽ちゃんを見守っているからね」夢から目覚めると、不思議なくらい心が軽かった。何か月もの間、胸に重くのしかかっていた暗い影も、少しずつ晴れて

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