LOGIN035「じゃあ……完成です!」「はい!……乾杯!!!!」「乾杯!!!!」 みんながルリの部屋であるオフィスに集まった……ユウタたちは本当に二週間でモデルを仕上げてきた……「はぁ……めちゃくちゃ疲れた……」 ハルは限界まで疲れ切った様子でカーペットに寝そべっていた……「お疲れさま……」 アキラちゃんがハルに炭酸飲料を差し出した。ハルはしばらくアキラちゃんの顔を見て……「起き上がれない……」「あ……ストロー持ってくるね……」「まあ……正直、今回はユウタとハルの手柄にしないとな……でもみんな、本当によく頑張ったよ……」 僕は炭酸飲料を飲みながら、みんなに向かって嬉しそうに微笑んだ。「なんというか……すごいです……本物のVTuberみたいで……」「ありがとうございます、ルリ先輩……」 ユウタもハルと同じようにカーペットに寝そべっていた……「あ……ストロー持ってきたよ……」「ありがとう……」「ありがとうございます……アキラちゃん……」「まあ……今回僕はあまり手伝えなかったから……というわけで」 僕はクレジットカードを見せた。「僕がこの前数万円稼いだお金で……みんなを海に連れて行こうと思って……」「え……海……」「うん……もうすぐ夏も終わるし……やっぱり海に行かなきゃな」「きゃー!!!!!」「うおー!!!!」 みんなとても喜んでいた……特にルリちゃんが……「はいはい……早く食べて早く行こうね……もう夕方近いし……」「はーい!!!」「あとは……ルリちゃん次第だね……」 夜八時……「あ……こんにちはー!!!」 [来たー!!!!] [こんにちはー!!] [声可愛い!!!] [モデル綺麗……でも線がなんか見覚えある感じ] [こんにちはー]「みなさんこんにちは、女子高生なのにサキュバスなのに、なぜか女の子にばかり惹かれてしまうリリロア・ララです!!!!」 [え!? ちょっと待って……] [それってサキュバス失格じゃんwwww] [待って待って、なにそれ……] [wwwwww]「あ、そうだ……社長からこれをみんなに伝えてって言われてます……」 彼女は今日のライブに来ている一部のファンにとって見覚えのあるタグ表示機能を使った……「今、私には好きな人がいます!」
034「やっほーーー!みんなーーー、人間界に魅せられた小さなサメっ娘、シロスカ・シャクだよーっ」[やっほー!!!][CAIOS!!!][来たーーーー!!!!][こんにちはみんな……][こんにちはです]「今日はちょっとだけだよ……アキくんが深夜配信続けるなって言ってたから……だから二時間だけにして、みんなも休んでね」[気遣いがすごい……アキくんって温かい人だね][ほんとに……][仲良さそうでいいなあ……]「まあ……付き合ってたら心配するのは当然でしょ……さ、メンバー登録してくれた人の名前読んでいくね」[ほらほら、彼氏自慢してる][羨ましいなあ……][かわいい (〃▽〃)]「さてさて……今日の内容はね、アキくんにお返しをするよっ」[きたあああ][完了……アキくん絶対いじられる][かわいそうなアキくん ꉂ (´∀`) ʱªʱªʱª]「というわけで、今日はアキくんの検索履歴を漁っていくよーっ!!!」[えええ!……そんなことするの?][見たい見たい]「もうハッキングしてあるから……ふっふっふ……お前の秘密、いただいたよ。ahahaha」[邪悪な笑い……][来た……悪魔モード][深海の悪魔、降臨!!!][笑いが清々しすぎる٩(ᗒᗨᗕ)۶]「さて……検索履歴を見ていきましょうか……ん?……タイ映画の伝説的なエンドクレジットシーン……日本語字幕付き」「動画か……見てみよう」『なんで俺を捕まえるんだよ……何もしてないのに!ちょっと、何やってんの……!』『もう終わりにしようとしてんだよ、ワンシーンでセリフ三言だけって……』『おい!監督に会わせろよ……』『監督は警察署にいますよ』『ふざけてんのか?……その監督とやらはよ』『俺を殺しに来たのかよ!?なあ!俺を殺しに来たのか!?』『このクソ野郎……あいつはわけわかんないこと言ってるのに全編しゃべらせて、ちゃんとしゃべれる俺にはしゃべらせない』『もう俺の前に現れるな!』『俺にも映画を作るチャンスをくれよ、そしたらお前に全裸で走らせてやるぞ……このスーパースターのコメディアンにこんなことができるのかよ……』『全編でセリフ三言だぞこのクソ!……覚えておけよ、お前が助けを借りたくなっても俺は絶対行かないからな!!』 ---「え……」[wwwwwwwwwwwwwwww
033「へえ……榎本さんって合気道やってるんですか!? あ! 忘れてた……手話……使わないと……」 渋谷のあるカフェで……知り合ったばかりの二人の女の子が楽しそうに話し込んでいた……「ふふ……ルリ……カワさん……って……面白い……人ですね……」「へえ……あ、来た来た」 二人が注文した飲み物が届いた……「お待たせして……申し訳ございません……今日はお客様が多くて……本当にすみません」 それを聞いたルリは、きょとんとした様子で尋ねた。「え……これ、遅かったんですか……?」 そう言いながらユリカのほうを振り返ると、ユリカは首を横に振った。たいして遅くなかったという意味なのだろう。「それとも私たち、話が盛り上がりすぎて時間忘れてたとか……?」「はは……はははははは!」 二人は笑いが止まらなくなり、店員さんはどうしたらいいか分からない様子だった……「えっと……あの……」 店員さんの顔立ちはまだ幼く……夏休みのアルバイトの学生に違いない。だからこういう場面への対応に慣れていないのだろう。 店員さんの様子を見たユリカは、スマホを取り出してメッセージを書いた…… 〔大丈夫です……お仕事お疲れ様です٩ (๑❛ᴗ❛๑) ۶ ファイトー〜〕 ユリカのメッセージを読んだ店員さんは、顔を赤くしてすぐに笑顔になった。「あ……ありがとうございます……!」 ユリカは店員さんに手を振った。ルリはその光景を瞬きもせず見つめていた。 ユリカは首をかしげ、どうしてルリがそんなに見つめているのか不思議に思ったが、ルリはスマホをいじるふりをしてごまかした……「んー! 美味しい!」「……んー……」 二人はそれぞれ自分の話をしながら、飲み物をちびちび飲んでいた……「そっか……お家は……道場……なんですね……」「はい……私自身……両親から……次の……後継者に……なるよう……期待されてるんです……」「そう……」 わずかではあったが、ユリカが道場の継承について話した瞬間、その表情が少し寂しげだったことにルリはすぐ気づいた…… この子……私と同じなんだ……「……」「それじゃあ……つまり……ユリカさんは……大柄な男の人も……投げ飛ばせる……ってことですね……」 ユリカは一瞬呆気に取られた顔をしたが、すぐに気を取り直した。「無理……ですよ……それは……映画の
032「写真たくさんありますね……」「僕は昔を懐かしむタイプなんだよ」 久志グループのおじさんたちと撮った写真、西尾たちを福岡から脱出させた時の写真、文化祭の写真、それに十年前の雰囲気そのままの写真がたくさんあった。「へえ……MP3プレーヤーもあるんですね。しかも有線イヤホン付き」 そう言い終わるとすぐに彼女はイヤホンをつけて音楽を聴き始めた。「まだ使えるじゃん……」「わあ! ゲームの曲がいっぱいですね……なんというか……曲ひとつひとつが亜紀くんらしさ全開ですね……」 実はその曲は、僕が星野にアプローチし始めた頃、彼女がアップロードしてくれたものだった。「古いものがたくさんありますね。半透明のコントローラーもありますし、これもらいますね」「使えるかどうかもわからないぞ、それにPS4用のコントローラーだし」「腕時計もありますし……折りたたみ携帯! すごく古いですね!!」 聞けば聞くほどくすぐったい気分になる……「あれ……でも電源つかないですね……残念です」 電源がつかなくてよかった……「おお……これは見たことないですね……」「もういいよ、好きなの持ってっていいから。僕は先に仕事するね」 僕は彼女の頭を軽く撫でてから、また仕事に戻った。 ちょうどその時、現場で相談したいという客が来たので、僕は外出の準備をした。「お客さんですか?」「うん……行ってくるね」 僕は彼女の頬にキスをして手を振り、家を出た。「材料も買ってきてくださいね……」 もう一方、街のある公園の前あたり―― ルリはその辺りを散歩しながら、いつもの日と同じように自分のブログに写真を投稿していた……「はぁ……」 しばらく歩くと、近くの東屋で少し休憩した……今日は平日だったので、公園を歩く人はあまりいなかった。「都会には……こんな綺麗な場所がたくさんあるんですね……」 実家と比べると……かなり違う。「誰も邪魔してこないし……誰も詮索してこない……」 彼女は中学時代を思い出していた。当時の彼女はまだ地味な顔立ちの、田舎の学校の生徒だった……その頃の彼女は、誰からも見向きもされない女の子と何ら変わらなかった。 高校に上がると、彼女はこっそり宮島高校の受験を受け、合格した。ここに通うことを家族に説得するのに、かなりの時間がかかった。「あの大人たちうるさ
031木曜日、20日「あなたって、本当に残酷な人ですね……」「どうしてですか?」「いやだって……自分の妻の元カレを新郎の付き添い人にするなんて……もしかして僕をからかっているんじゃないですか……」控室には……新郎と僕の二人だけ……だから話すことができた「そう思いますか?」「金持ちにはたくさん会ってきましたよ。旦那さん……大抵は僕の服をじろじろ見て、まるで安っぽいドラマみたいに見下した口をきくものですけどね」相手は涙が出るほど笑った「はは、僕はそういう人間じゃありませんよ……」「それなら、星野を泣かせるような男でもないってことですね……」僕は真剣な声で言った……すると彼も真剣な表情で答えた「僕自身の名誉にかけて誓います……」浮気ものの漫画を読みすぎたかもしれない……「すみません、ちょっと試してみただけです……こんなことをするのはひどいと自分でも分かっていますが、でも、あいつはあまり物事を分かっていなくて……ただの純粋な女の子なんです」彼はしばらく黙り込んだあと、口を開いた「あなたのことは彼女から聞きましたよ……あまり良い別れ方ではなかったようですね」「純粋な思春期の子供なんてそんなものですよ……僕は酒も飲まないし煙草も吸わないし、悪いことにも手を出さないでいたのに、大学に入って会えなくなることが辛いんじゃないかと勘違いされて振られたんです……言いたいことは色々ありますが、僕は人の陰口を面と向かって言うような人間じゃないので……」「彼女はあなたに謝りたいと言っていましたよ……」正直に言えば、僕はまだ心の中にわだかまりがあった……相談も確認もなしに、いきなり遠距離恋愛が大丈夫かどうかも聞かずに別れを切り出されたことに……でもね……「だから言ったじゃないですか、いらないって。人間は間違いを犯すものです……それに今の僕は、もう星野よりもいい人に出会っていますから」あの、白髪の短髪でやんちゃな子猫のような女の子の姿が、僕の心に浮かんだ「……そうですか……お二人とも、きっと幸せになれると思いますよ」僕もそう願っている「あなたのほうもね……」彼は立ち上がり……僕のほうへ手を差し出した「これからは約束します……星野を一生幸せにすると」そんなに真剣にならなくても、僕はただの高校時代の元カレでしかないのに……「ああ……あとは頼み
030「オハヨーセカイ!グッドモーニングワールド!!!! タ・ネーウ・ネーウ・ネーウ・ネーウ!」サちゃんが朝の五時に僕の部屋に突撃してきて……アニメ「Dr.STONE」第一期のオープニングを歌い出し、さらにギターの音まで口で真似していた「起きてるよ……」付き合って四ヶ月になった……それもあってか、彼女は理由はともあれ僕の家に来ることが増えていた「窓くらい開けたらどうですか……」そう言うと彼女は窓を開けた……朝の光が目に刺さった瞬間、頭の中でドラキュラ映画のBGMが流れた「うわあああ!!!!」「おはようございます、アキくん……」彼女がVTuberを始めてからというもの、深夜まで配信することが多くなり、そのまま僕の家に泊まることも増えた。最初は布団を用意しようとしたけど、彼女が僕の部屋で寝たがったので、一緒に寝ることが自然と多くなっていた正直に言うと、彼女が寝ている間に不埒なことをしそうになったことが何度もあった。でもその度に自分を抑えて、「やったら刑務所行きだぞ!」と心の中で唱え続けていただから僕たちにできるのは抱き合って寝るか、手を繋いで寝るかくらいで……それはそれで可愛いものだけど「お酒の匂いがぷんぷんしますよ。ほら!顔洗ってきてください」彼女は僕が酒を飲んで煙草を吸うたびに文句を言う……きっと僕の体のことを心配しているんだろう「一人じゃ無理だよ……背中流してくれない?……一緒に入ってもいいよ?」毎日こんな際どい冗談を言い合うのが日課になっていて、もう慣れっこになっていた……彼女は脚で僕の股間を蹴った……「ぎゃあああ!!!!」危なかった……男としての尊厳を失いかけた……「早く行って……朝ごはんが冷める前に……」僕は急いで彼女に土下座して足にキスをし、そのまますぐ風呂に向かった風呂を終えて階下へ降り、食卓についた「いただきます……」三人で朝ごはんを食べるのも、もう何度目になるだろう。気のせいかもしれないけど、最近彼女は少し明るくなった気がする。サちゃんも美冬とうまくやっているようで、二人でバラエティ番組を見て笑っている姿をよく目にするようになっていた「めちゃくちゃ美味しい!自分で作るより全然いいじゃない……」「ふふ……ありがとうございます」美冬は何も言わず、口に手を当てながら頷いて同意していた……「今日は学校行