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8:どうして幼馴染は、私を愛してくれないんだろう……?

Author: ซากุ
last update publish date: 2026-10-22 16:47:48

 009

 チン! 自分で作った人生相談サイトの通知音が鳴った。相談ボックスに書き込みが入ったときの音だ……些細な悩みならメッセージで返信して無料にする……でも対面が必要な問題なら直接会って、その分料金をもらう……今回もそのパターンだ。

「幼なじみに告白しようとしてるんですが……自分って他の人みたいにイケメンじゃないので、アドバイスをもらえたら……」

 すぐに会う約束を取り付けた……こういう悩みは些細なことといえばそうだが……自分がイケメンじゃないと言っている……こういうケースは対面でしか話せないと俺は判断している。

「どこの冴えない男の子かな……」

 考えてみると、悩みを抱えた人から一件一万円もらうやり方は……なんとなく自分が詐欺師みたいに思えてくる……

「まあいい……金が入ればそれでいい……」

 でも……これまで通り、ちゃんと自分の仕事はやり遂げよう。

 いつものジリンカフェへ向かった……いつの間にか常連になっていたらしく、女性スタッフが俺の顔を覚えてくれていた。

「今日も誰かと待ち合わせですか?」

「ええ……仕事で……」

 顔を覚えてくれて声をかけてくれるようになったわけだが……お客と店員はお客と店員と決まっているのに、もう大半のスタッフが話しかけてくれるようになっていた。

 少なくとも、東京の人間が全員よそよそしいわけじゃないとわかった……この大きな街にも、気さくに人に話しかけてくれる人はちゃんといる……

 俺も菅原も……そしてここのスタッフたちも……みんなそういうタイプだ。

 いつもの席に座ってミルク入りアイスココアを注文した……しばらくすると、お客がやってきた。

 男の子が二人……一人は菅原の友人で、女の子と話すのが苦手だった悠太。もう一人は同じく菅原の友人グループにいる、体格のよい男の子だった。

「あれ……悠太に……えっと……ハルくんだっけ。最近、女の子とは話せるようになった?」

「はい……」

「はい……菅原さんと少し話せるようになってから、他の女の子の友達とも話せるようになってきました」

 ハルくんは見た目通りぽっちゃりとした体型で、スキンヘッドにしていた。俺より少し背が高い……でも見たところ、性格は悪くなさそうだ。

「えっと……相談ボックスに書いたとおりなんですが……アドバイスをもらえたらと思って……」

 俺はハルくんをじっと見てから、残酷な本音を告げた。

「諦めろ」

「え……?」

「バカにしてるわけじゃないよ……でも今の状態じゃ、恋愛に期待するのは難しい……」

「なんでですか?」

 聞いてきたのはハルくんではなく、悠太だった。俺は指を立てて、二人に向かってはっきりと理由を説明した。

「一つ……太ってる。たしかに太った男性がふっくらして温かみがあって好きという女性も多い……でも君の幼なじみはそういうタイプじゃないと俺は思う。二つ……魅力が足りない……立ち居振る舞いも、自分の見せ方も、今はまだ弱い……」

「……そうですか」

「古臭いと思われても構わないけど……少なくとも自信を持つことが必要だよ。それが魅力の核心なんだ……自信過剰になる必要はない。そうしたら相手に生意気だと思われる……でも、自分に自信があるということが伝わる程度には持てないとな……」

「あの……アキトさん、ちょっと言い過ぎじゃないですか」

 悠太が俺をたしなめた。

「言い過ぎ?……そんなことはない……今の状態で告白したら、俺の言葉より何倍も傷つくことになるぞ……」

「ハルくん……大丈夫?」

「うん……じゃあ……どうすればいいんですか?……」

 すごい……このしぶとさは本物の若者だな。

「俺が今まで一度もやったことのないことをやらせることになるよ……」

「運動ですか……」

 それから数日後。

「おいおい……ただのウォーミングアップだぞ!そんなに早くバテるなよ……」

「はあっ……はあっ……はい!」

 まず毎日軽い運動をさせることにした……筋肉をつけるような本格的なトレーニングじゃなくていい……健康のための運動で十分だ……習慣になるまで続けさせる。

「よし……告白するときははっきり言えるようにしないとな……悠太、ハルくんの幼なじみの写真をプロジェクターで映してくれ」

「はい……」

「えっと……のぞみちゃん……その……今まで……俺は……俺……俺……」

「カット!!ダメだ……写真相手にも言えないのか!……もう一回!今日中にはっきり言えなかったら家に帰さないぞ」

「え……でも宿題が……」

「宿題なんかどうでもいい!宿題忘れたら先生に怒られるだけだ……でも練習しなかったら、のぞみちゃんに気持ちを伝えられないままになるぞ!!」

「はいっ……!!」

 もちろん、大事なのは好きな相手の前で自分の気持ちをちゃんと表現できるようにすること……それが一番の核心だ。

 そしてまた数日後。

「よし……お前ならできると思う……告白したら結果を教えてくれ……結果次第で料金を決めるから」

 土曜日の朝にそう言って電話を切り、また別の相談者の対応に戻った。

 宮嶋私立女子高等学校、高校二年生の教室。

「どうしたの……ハルくん」

 夕日の差し込む教室に、生徒が二人だけ残っていた。

「その……言いたいことがあって……」

 雰囲気は整っていた。百点満点の自信を胸に、男の子は幼なじみを放課後の教室に呼び出していた。

「…………」

 女の子も、彼が何を言おうとしているのか気づき始めていた……少し頬が赤くなった。

「俺……もっと早く言うべきだったと思ってる……でも自分がビビりで……嫌われるのが怖くて……でも言うって決めた」

「ずっと好きだった……最初に会ったときから……」

 ハルは胸のつかえが取れた気がした。でもそれは長くは続かなかった……さらに重い現実が待っていたから。

「ごめんね……もう付き合ってる人がいるんだ……」

 彼は固まった。どうすることもできなかった。

「い……いつから……?」

「半年くらい前かな。影高のサッカー部の先輩なんだ……ずっと言わなくてごめんね」

 ハルはただ呆然と立っていた……なぜこうなったんだと……

「そっか……君はかわいいしな……しょうがないよ……」

「うん……」

 それでも今この瞬間、彼の心は折れていた。

「じゃあ……行くね……」

「あ……うん……またね……」

 ハルは涙をこらえながら教室を出た。

「どうだった……」

 ハルの顔を見ただけで、悠太には結果がわかった……そのままハルを行かせた。

 そのとき、アキトからメッセージが届いた。

「振られたな……」

 まるで最初からわかっていたかのように。

「はい……」

「カラオケに連れていってやってくれ……」

 メッセージが終わると同時に、悠太はハルの手を引いてカラオケへ向かった。

 そして思いっきり歌って気持ちを吐き出した……ただ歌ったのは失恋ソングとはほど遠い曲だったが。

「「Ooh yeah」」

「Dada-dada, dada-dada!!」

「「Baby, baby, Da-dada-dada, dada-dada」」

「Da-dada-dada, dada-dada!!!!」

「「Ooh yeah」」

「Dada-dada, dada-dada!!」

「「Baby, baby, Da-dada-dada, dada-dada」」

「Da-dada-dada, dada-dada!!!!」

 歌ったのはゲームの曲だった……それでもハルは驚くほど早く立ち直った。アキトは満額の報酬を受け取った。

 現在の貯金の合計は178,244円。

 まだまだ先は長い。

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